
ラッセル、”単調”な現代F1を嘆く「もはやターン1までのレース」その構造的要因
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、現在のF1が「ほぼオーバーテイクが存在しない」状態に陥っており、グランプリが予選とスタートの瞬間だけで決定づけられてしまう「ターン1までのレース」になっていると警鐘を鳴らした。
「今のF1は、残念ながらかなり単調な展開だ」とラッセルは語る。彼によれば、その最大の理由は技術的な要因にある。
「タイヤのデグラデーション(性能低下)がほとんどない。それに、トップ6の最速マシンと最も遅いマシンの差は、わずか0.3秒しかないんだ。でも、通常オーバーテイクするには最低でも0.5秒のアドバンテージが必要だ」
「2ストップ戦略の最後のレースがいつだったか、もう思い出せないよ」
予選とスタートで決まる”退屈な構図”
ラッセル自身、2025年F1第19戦アメリカGPでその現実を痛感した。5番手スタートながらも、スタート直後にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に追い抜きを許して後退すると、その後は前方のマシンに追いつくことすらできず、そのまま5位でフィニッシュした。
「もし僕がターン1を3番手で抜けられていたとしたら、今日は表彰台に上がっていただろうね。でも実際には6位で抜け、6位でフィニッシュした」
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でレースを戦うジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年10月19日(日) F1アメリカGP決勝
決勝では苦戦したものの、ラッセルはスプリントで2位を獲得。予選でのわずかなタイム差が、決勝結果を大きく左右することを改めて強調した。
「もし昨日(予選)あと0.02秒速ければ、僕はフロントローにいて、おそらくレースを2位で終えられていたはずだ。それくらいマージンはわずかなんだ」
「予選が非常に重要で、ターン1がすべてなんだよ」
ピレリを責めるのは「一面的」
タイヤに関しては、サプライヤーを務めるピレリがしばしば非難の矢面に立たされてきたが、ラッセルはそれを「一面的すぎる」と指摘する。
「ピレリはいつも叩かれるんだ」とラッセルは言う。
「タイヤのデグラデーションが多ければ“リアルじゃない、ドライバーがプッシュできない”と言われるし、逆にデグラデーションがないと“レースが退屈だ”と言われる。つまり、どっちに転んでも批判されるんだよ」
「理想を言えば、“全力でプッシュできるけど、レース全体は走り切れないタイヤ”が欲しいんだ。もし理想的なタイヤを選べるなら、それは15周くらいで性能が一気に落ちるタイヤで、2ストップや3ストップが必要になるようなものだと思う」
「でも、それを実現するのは口で言うほど簡単じゃない。ピレリは本当に大変な立場にある。彼らは最善を尽くしていているし、今のタイヤは実際かなり良いものなんだ」
「でも皮肉なことに、良いタイヤであるがゆえに、レースがつまらなくなってしまうんだ」
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
フリー走行前にパドックに置かれたピレリのタイヤコンパウンド、2025年3月21日(金) F1中国GPフリー走行(上海インターナショナル・サーキット)
カタールとベガスへの期待
ラッセルは前戦シンガポールで勝利を収めた。シーズン終了までにはあと2回、メルセデスが好結果を残せるチャンスがあると見ている。
「カタールとベガスが、現実的に見て僕らにとってベストなチャンスだろうね。でも、結局はすべて予選での一発のラップにかかっている。もし本当に力強いラップを走れてフロントローに並べれば、ポジションを守れる。でも、そうでなきゃ…」
「メキシコも同じだよ。結局はQ3とスタートが勝負を分けるはずだ」
2025年F1第19戦アメリカGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
エルマノス・ロドリゲス・サーキットを舞台とする次戦メキシコGPは、10月24日のフリー走行1で幕を開ける。