
コラピント、“最下位圏オーダー無視”の真相―正当化発言もアルピーヌ首脳が問題視
2026年のシート獲得を目指すフランコ・コラピント(アルピーヌ)が、2025年F1第19戦アメリカGPの終盤、チームオーダーを無視してチームメイトのピエール・ガスリーを追い抜いた。
17位争いという”最下位圏でのチームオーダー違反”という異例の事態に、アルピーヌ首脳陣は不快感を隠さなかった。
残り3周、ターン1で強行突破
レース終盤、チームメイトより3周分フレッシュなタイヤを履くコラピントは、後方からガブリエル・ボルトレート(ザウバー)が接近する中、ガスリーに猛烈なプレッシャーをかけた。
チームからは繰り返し「ポジションを維持しろ」との指示が飛んでいたものの、残り3周のターン1で強引にガスリーを抜き去った。
Team orders turns into an intra-team battle! ⚔️👀
Franco Colapinto passes Pierre Gasly with an audacious overtake on his team mate 🔀#F1 #USGP pic.twitter.com/ZKxR4TOPjX
— Formula 1 (@F1) October 20, 2025
コラピントの母語、スペインの専門メディア『SoyMotor』によると、コラピントはレース後、スペイン語メディアに対し、チームオーダーに反した自身の判断を正当化した。
「僕の方が速かったし、状況的にも僕が前に出るのがベストだった。ボルトレートに攻められていたから、ポジションを守るにはそれが最善だった。とはいえ、16位や17位を争っている中で、あれこれ議論することに意味はないと思う」
コラピントの主張には一理ある。その後、ガスリーはボルトレートに追い抜かれたが、コラピントは最後までポジションをキープした。もしガスリーが前を走り続けていたら、両車ともボルトレートに抜かれていた可能性は十分にある。
「指示は絶対的」首脳陣はコラピントを問題視
しかしながら、アルピーヌ首脳陣の反応は厳しいものだった。マネージングディレクターを務めるスティーブ・ニールセンは、コラピントの行為に対し、明確な不快感を示した。
「ピットウォールからの指示は絶対的なものだ。それが守られなかったのは非常に残念だ。この件については内部で検証を行い、適切な対応を取る」
今季途中にジャック・ドゥーハンの後任としてチームに加入したコラピントにとって、今回の行動はチーム内評価に影を落とす可能性がある。2026年のフルタイムシートを目指す立場としては、決して得策とは言えない。
なぜ“最下位争い”でチームオーダーが?
そもそも疑問なのは、なぜ17位と18位という事実上の最下位争いのような場面でチームオーダーが出されたのかという点だ。後方からボルトレートが迫っており、最下位フィニッシュを防ぐ目的があったのは確かだが、真の理由は「燃料マネジメント」にあった。
ラップリーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)に周回遅れにされるかどうか、ギリギリの状況だったため、アルピーヌは燃料量を慎重に管理していたのだ。
今季のアルピーヌはしばしば周回遅れでレースを終えており、過去3戦連続でフルディスタンスを完走せずにフィニッシュしている。
周回遅れになると、その周回分だけ「レース周回数が減少」する。最下位付近を走ることが想定される場合、チームは燃料をギリギリまで減らして軽量化を図ることがある。
そのため、「周回遅れにされる前提」で燃料計算をしていると、周回遅れにされなかった場合、燃料切れのリスクが生じる。その場合、リフト&コーストで燃料をセーブさせることになる。
つまり、アルピーヌは「最悪の場合56周走り切る」ことを想定し、両車に燃料をマネジメントさせていた可能性があるというわけだ。もっとも、「そもそも想定より燃費が悪く、完走ギリギリの状態」だったという可能性もある。
最終的にアルピーヌの両車はフェルスタッペンに周回遅れにされ、規定より1周少ない55周でレースをフィニッシュした。ニールセンはコラピントに対する不快感を示す中で、「両車とも燃料をマネジメントしていた」と指摘した。
ガスリー「ちょっと驚いたけど」言及避ける
一方、ガスリーはこの件について大きく取り上げることを避けた。
「…ちょっと驚いたけど、特に言及するつもりはない。結局のところ、僕らは遅すぎたんだ」
ガスリーがより不満を示したのは、チーム全体のペース不足だった。アルピーヌは今回もソフトタイヤでスタートするという戦略が裏目に出ており、コンストラクターズ最下位から脱する兆しは見えない。
異例の騒動が残した火種
一般的に、チームオーダーはポイント圏内や表彰台争いで発動されるものだが、今回は17位と18位という最下位争いでの出来事であり、その異例性が際立つ。
アルピーヌにとって、コラピントの行動は結果的にチームに利益をもたらしたようにも見える。だが、チームオーダーを無視したという事実は、組織の統制という観点から看過できるものでもないだろう。
コラピントは2026年のシートを確保できるだろうか。今回の一件は、彼のチーム内での立場に少なからず影響を与える可能性がある。
2025年F1第19戦アメリカGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
エルマノス・ロドリゲス・サーキットを舞台とする次戦メキシコGPは、10月24日のフリー走行1で幕を開ける。