ダニエル・リカルドにシャンパンを浴びせ続けるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1アイフェルGPの表彰台セレモニー
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フェルスタッペンの僚友探し”難航”はレッドブルにとって想定内だったはず、とダニエル・リカルド

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マクラーレンのダニエル・リカルドは、マックス・フェルスタッペンのチームエイトとしての自身の後任探しが頭痛のタネとなる事は、レッドブル・レーシングにとって想定内だったと考えている。

レッドブルは2009年末のF1テストで、後続に1秒以上の差をつけて最速タイムを記録したリカルドに目をつけ、姉妹チームであるトロ・ロッソのテスト兼リザーブドライバーとしてF1の舞台に引き上げた。

スクーデリア・トロロッソのダニエル・リカルド、2011年8月1日オーストリア・ザルツブルグのHangar-7にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

スクーデリア・トロロッソのダニエル・リカルド、2011年8月1日オーストリア・ザルツブルグのHangar-7にて

リカルドはヒスパニア・レーシングの一員として2011年のイギリスGPでF1デビューを果たし、2シーズンを過ごした後、同胞マーク・ウェバーの後任としてレッドブルでセバスチャン・ベッテルのチームメイトを務める事になった。

レッドブル昇格と共に4度のF1ワールドチャンピオンを完全撃破したリカルドは、その後、信頼性欠くマシンにフラストレーションを募らせながらも、新たなチームメイトとなったフェルスタッペンと互角の勝負を繰り広げ、トップドライバーとしての立場を確立させていったが、2018年末を以てチームを去る事を決断。多くのレース関係者に衝撃を与えただけでなく、その後のレッドブルを翻弄する事となった。

リカルドの後任としてシニアチーム昇格を果たしたピエール・ガスリーは、成績不振を理由に僅か12戦でトロロッソへ降格となり、代わってステアリングを握ったアレックス・アルボンも期待されたパフォーマンスを示せず1年半でシートを失った。

リカルドを失ったレッドブルは、ラインナップという点で競争力を低下させる事となり、ライバルのメルセデスに対して後退を強いられる格好となったが、リカルドはチームがある程度こうした事態を覚悟していたはずだと考えている。

ルノーのダニエル・リカルドとレッドブル・ホンダのピエール・ガスリーcopyright Red Bull Content Pool

ルノーのダニエル・リカルドとレッドブル・ホンダのピエール・ガスリー

リカルドは英誌スクエア・マイルとのインタビューの中で次のように述べ、自身の後任探しに苦慮するのはレッドブルにとって想定内であったはずとの考えを示した。

「チームは僕とマックスの実力を、そして僕らがトップレベルの組み合わせである事を知っていたはずだ。だからそうだね、僕の後任選びで苦労する事を覚悟していたと言えるかもしれない」

リカルドは後任の二人に関して「ピエールやアレックスは仕事を全うできなかった」とする一方「少なくとも、すぐに結果を出すのは無理だったと思う」とも述べ、苦境に置かれた後輩達に同情した。

優勝争いや選手権制覇が期待できるレッドブルから中団チームのルノーへの移籍という事で、リカルド離脱の理由に関しては様々な憶測が飛び交った。

中にはフェルスタッペンに恐れをなして逃げ出した、確執があったといった旨の報道もあったが、リカルドは10年来に渡るレッドブルとの関係を精算して「新しいスタートが切りたかった」のだと主張。「分からないけど、チームの外から見ている人たちは、マックスと僕が互いにあのレベルまでプッシュし合った事を過小評価していたのかもね」と続けた。

リカルドとフェルスタッペンは度々コース上で衝突し、いがみ合うような場面も少なくなかったが、その様子はまるで兄弟のようでもあり、チームを去った後も同じ飛行機でグランプリへ向かうなど良好な関係を続けている。

「今の方がマックスと友達でいる事が容易だ。それは2つの理由による」とリカルド。

「1つ目は僕らが直接のライバル関係にないって事だ。今はお互いに決着を付けようと試みたりはしないからね!」

マックス・フェルスタッペンとバトミントンをするダニエル・リカルド、2018年F1中国GPにてcopyright Red Bull Content Pool

マックス・フェルスタッペンとバトミントンをするダニエル・リカルド、2018年F1中国GPにて

「彼とチームメイトだった時、僕は何度からレースに勝ちポールポジションを獲得した。つまり彼は僕の速さを知っていたわけだ。それに僕をリスペクトしてくれていたんじゃないかと思ってる」

「その後、僕がチームを去った事で彼は他のドライバーをチームメイトとして迎える事になった。その結果、僕に対する敬意は更に大きくなったんじゃないかと思うんだ。それが2つ目の理由だ」

「僕らは決して互いに憎み合っていたわけじゃない。ただ、お互いのキャリアに決着を付けたかっただけなんだ!単にそれだけの事なんだよ」

レッドブルはホンダのF1最終年を前に、育成ドライバーを昇格させるという伝統的なドライバー人事を見直し、外部からベテランのセルジオ・ペレスを迎え入れた。

メキシコが誇るレースマイスターは、レッドブルでの初戦となった3月末のバーレーンGPでマシントラブルから最後尾スタートを強いられるも、見事なマシンさばきで5位入賞と巻き返し、ヘルムート・マルコやクリスチャン・ホーナーら首脳陣の信頼を勝ち取った。

ただ、リカルドの真の後継者足る存在となるかどうかについては、今後数戦、シーズン全体を通して評価される事になる。