ヘルメットを持ってアルバート・パーク・サーキットのパドックを走るスクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテル、2020年F1オーストラリアGPにて
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フェラーリ、ベッテルに年俸大幅ダウンの1年契約をオファーとの報道

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前倒しされた”シャットダウン”のために、好むと好まざるとにかかわらず、チームの技術開発部門のスタッフ達は休暇を余儀なくされファクトリーは閉鎖されている。だがこれとは対照的にマーケティング部門や法務部門は仕事を続け、ドライバーマーケットもまた動き続けている。

マラネロは昨シーズンの最終アブダビGPを終えた後、シャルル・ルクレールとの契約を2024年末まで延長した。その一方でセバスチャン・ベッテルとの契約は今季末までとなっており、2021年のもう一つのシートには空きがある。混乱のオーストラリアから帰国した後、フェラーリはベッテルとの交渉をスタートさせたようだ。

Sky Italiaは27日、フェラーリがベッテルに対して1年の契約延長をオファーしたと伝えた。具体的な金額については触れられていないが、年俸は従来と比べて大幅ダウンだという。ベッテルは昨年、チームに加入してきたばかりの22歳のモナコ人ドライバーに優勝・ポールポジションの双方の回数で破れ、24点差でドライバーズランキング4位を許した。

ベッテルの現行契約はセルジオ・マルキオンネが存命中の2017年に締結した1億ユーロ(約120億5,254万円)の3年契約だ。チーム代表もマウリツィオ・アリバベーネからマッティア・ビノットへと代わり、バトミントン仲間のキミ・ライコネンももういない。状況は異なる。

フェラーリの候補にはダニエル・リカルド、カルロス・サインツ、アントニオ・ジョビナッツィの名が取り沙汰されており、賃上げ交渉の余地はないものとみられる。ボールが投げられた以上、2021年以降の現役続行に意欲を示しているベッテルとしては、プライドを捨てて跳馬との7年目に挑むか、あるいはライバルチームのシートにチャンスを見出すかを決める事になる。

ベッテルにとって今後数ヶ月はキャリアの大きな分岐点となり得る。本来であれば昨年の雪辱を晴らす活躍を示して、評価を回復させた上で交渉の席に臨みたいところであったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響で開幕8戦がカレンダーから消えてしまったため、コース上でのパフォーマンスで首脳陣を納得させる事が出来ない。

32歳になった4度のF1ワールドチャンピオンは、自らの将来をどうデザインするのだろうか。