レッドブル、2023年型「RB19」で”ドライバー好み問題”を解決か
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レッドブルの2023年型F1マシン「RB19」はもはや、そのパフォーマンスがマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのドライビングスタイルの違いに左右されるマシンではないのかもしれない。
レッドブルの2022年Wチャンピオンマシン「RB18」は、シーズン当初こそペレスに力を授けたが、ほぼ毎週末のアップグレードによって進化を遂げるに連れ、結果的にフェルスタッペン好みへとシフトしていった。
サウジアラビアでのポールポジション、そしてモナコでの優勝をハイライトに、ペレスはシーズン序盤、フェルスタッペンに負けず劣らずの競争力を発揮していたが、最終的には大差でタイトルを許した。
フェルスタッペンはフロントのグリップを頼りにクルマを感じ操るスタイルが特徴で、アンダーステア傾向のクルマを苦手とする。対照的にペレスはフェルスタッペンが本領を発揮するオーバステアを好まない。
C5コンパウンドを履かなかったにも関わらず、ペレスはバーレーンで行われた2023年のプレシーズンテスト最終日に総合トップタイムを記録。印象的なペースを刻み、RB19との相性が悪くない事を感じさせた。
ペレスは「クルマに対する理解は深まったし、全体的に本当に上手くいった」「ミルトンキーンズのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、良いペースのあるクルマを手に入れることができた」とテストを前向きに総括した。
3日間のテストを通してレッドブルは、パドックの誰もにコンテンダーと認めさせる圧倒的な速さを見せた。レッドブルの独壇場となれば、2023年シーズンはフェルスタッペンとペレスの一騎打ちとなる事が予想される。
33歳のメキシコ人ドライバーが初のタイトルを懸けてチームメイトに挑戦できるかどうかはクルマのハンドリング特性が一つの鍵となりそうだが、チームの幹部によればRB19は前季型の課題をクリアしているようだ。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはSky Deutschlandとのインタビューの中で「2人のドライバーが各々の良さを発揮できる解決策を見出したように見える」と語った。
「昨年の我々のクルマは当初、チェコが非常に巧みに扱っていたが、開発が進むにつれてフェルスタッペンは徐々にマシンに満足するようになっていった」
「フェルスタッペンはフロントが強く、鋭く曲がるクルマを好むがペレスは少し違う。彼はあまり劇的でないクルマを好む」
レッドブルのテストは2日目のオイル漏れトラブルを除けば順風満帆だった。既に詳細なセットアップ作業にも取り組んでいると言い、来週末の開幕バーレーンGPに向けてはまさに盤石といった雰囲気だ。
タイムシートの根拠となるショートランは、これを左右する変数があまりに多く序列を評価する上ではあまり参考にならない。他方、ロングランは燃料搭載量がある程度絞り込めるため、より適切な指標となる。
マルコは「3日間のテストについては全体的にかなり満足している。トラブルが出たのは1回だけで、それも深刻なものではなかった」と語る。
「特に楽観的なのは、フェルスタッペンとペレス双方のロングランだ。ライバルと同等以上の速さだったのは明らかだ」
マルコはまた、メルセデスのテスト終盤のペースは目を見張るものだったとしながらも「トップ3は変わらないだろう」と述べ、シーズン開幕を待つ必要があるものの今年もレッドブル、フェラーリ、メルセデスの3チームが上位争いを演じるだろうとの見解を示した。