レッドブルF1、角田裕毅との契約更新を躊躇か…ホンダ介入で鈴鹿発表実現の可能性
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伝えられるところによると、新人離れしたリアム・ローソンの走りを前にレッドブルの首脳陣は、一旦は4シーズン目に値すると考えていた角田裕毅(アルファタウリ)とのF1日本GPを前にした契約延長を躊躇したが、ホンダが介入した事で鈴鹿での発表が実現した可能性があるという。
鈴鹿サーキットでのイベント2日目を前に晴れて角田裕毅の2024年続投が正式に発表された。角田裕毅に加えて、ダニエル・リカルドとリアム・ローソンという計3名のドライバーが2つしかないアルファタウリのシートを争っていた。
角田裕毅は開幕戦から安定的なパフォーマンスを発揮し続け、当初のチームメイトであるニック・デ・フリースを全く寄せ付けなかった。2023年型「AT04」はグリッド上で最も非力なクルマの一つであったが、それでも3回の入賞を飾った。開幕14戦でチームが獲得した全てのポイントは角田裕毅の手によるものだった。
故にサマーブレイク前の段階では、角田裕毅の4シーズン目を疑う声は聞かれず、レッドブルの首脳陣も続投を心に決めたと考えられていた。
だが、デ・フリースの後任としてハンガリーGPで古巣復帰を果たしたリカルドが、オランダGPで不運のクラッシュに見舞われた事で状況が一変した。骨折したリカルドに代わって代役を務めたローソンが目を見張る走りを見せたからだ。初走行ながらもキャリア3戦目のシンガポールでは、チームの今季最高成績を塗り替える9位フィニッシュを果たした。
一分の隙もないように思われた角田裕毅の将来を懸念する声が広がり始めた。リカルドとローソンの新たなドライバーラインナップ。レッドブルのリザーブ・ドライバー就任の可能性を指摘する声もあった。
ところがホンダのお膝元、角田裕毅にとっての母国レースが週末に迫る中、再び状況が一変する。
相次いで角田裕毅の来季を確実視する見方が広がり、F1公式特派員兼プレゼンターのローレンス・バレットはF1公式サイトにおいて、角田裕毅が”セカンドシート”争いの「圧倒的本命」に浮上したと伝えた。そして鈴鹿でのFP3を前に正式発表が行われた。
1周目の接触により角田裕毅がリタイヤを余儀なくされたF1シンガポールGP後の展開であっただけに、「圧倒的本命」への急浮上の要因はレース外、つまり状況を進展させた要因として考え得るのはホンダとの交渉内容だった。
契約発表を経てバレットは、ローソンの活躍を経てレッドブル首脳陣が角田裕毅との契約サインに躊躇していた事を示唆した上で、鈴鹿での発表の背景にはホンダの介入があった可能性があると伝えた。
「ホンダが支援するドライバーは夏休み前に、素晴らしいパフォーマンスを以てレッドブルとアルファタウリに4シーズン目に値すると確信させたが、その後、負傷したリカルドに代わって参戦したリアム・ローソンが優れた活躍を見せたため、決定は複雑なものとなった」
「ツノダは引き続き有力候補であり続けたが、鈴鹿でのレースが始まる数日前まで、レッドブルは契約更新を決定する一歩手前で立ち止まっていた。ツノダのホームレースに先立ちホンダがレッドブルの代表者と会合を持ち、契約成立に向けて推進したと考えられている」
バレットの指摘は、ホンダ介入以前のレッドブル首脳陣が、鈴鹿を含めたリカルド復帰前の全てのレースでのローソンのパフォーマンスを見た上で最終的な判断を下す意向であった事をうかがわせる。事実であるとするならば、ホンダは何を交渉材料にしたのだろうか。
リカルドは2週間後のカタールGPを前に、シミュレーター作業を通して手の状態を確かめるものと思われるが、同グランプリではスプリントが採用されるため、仮にリカルドがFP1後にステアリングを握れる状態にない事が判明した場合、ローソンはいきなり予選を戦わなければならなくなる。そのため慎重を期して翌戦のアメリカGPまで復帰を見送る可能性も考えられる。