
赤旗やSC介入も視野に…F1カタールGPに新たなタイヤ懸念、コースに潜む“見えない刃”
2025年F1第23戦カタールGPの現場に、不穏な空気が漂っている。ピレリはスプリント予選が行われた初日を終え、検査の結果、複数のタイヤに「深い亀裂」が生じていることを確認し、監視体制を強化すると発表した。
この状況は、土曜日のスプリントおよび日曜日の決勝レースにおいて、タイヤがパンクに至るリスクを示唆するものであり、ピレリと統括団体の国際自動車連盟(FIA)は警戒を強めている。
構造部に届く「鋭利なグラベル」
イギリスの専門メディア『The Race』によると、ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラは、亀裂の主因として、コースアウトしたマシンによって縁石やレーシングライン上に持ち込まれたグラベルにあるとの見方を示した。
「かなり深い亀裂をいくつか確認した。幸いにも骨格は切断されていなかったが、タイヤの構造部分には達していた」とベッラは語る。
「当然ながら、構造部分が露出した状態でグラベルの上を走り続ければ、パンクのリスクが生じる」
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.
グラベルの脇を駆け抜けるフェルナンド・アロンソのアストンマーチンAMR25、2025年11月28日(金) F1カタールGPスプリント予選(ロサイル・インターナショナル・サーキット)
背景には、今年導入された“トラックリミット対策としてのグラベル”がある。ターン6、10、16には新しいグラベルトラップが設置され、ターン14脇のグラベルも拡大された。
厄介なのは、この砂利の形状だ。ベッラによれば、他サーキットのものと異なり角が丸められておらず、タイヤに突き刺さりやすいという。ドライバーが縁石を使うたびに、この新しい砂利がコース上へばらまかれることになる。
FIA、赤旗やSC介入の可能性も
亀裂は前後左右すべてのタイヤで確認された。現時点でスプリントの開催そのものを脅かすほどの緊急性はないというが、ピレリとFIAは状況を注視している。
「現時点では、懸念とまでは言わない。だが、当然ながらスプリントやレース中に何らかの影響が出る可能性、つまりタイヤに問題が生じたり、パンクが発生したりする可能性は考慮に入れる必要がある」とベッラは説明する。
「FIAもコース上の砂利の状況を監視することになる。コースを清掃するために必要に応じて、赤旗やセーフティーカー(SC)が出される可能性もあるだろう」
初日終了後、ピレリはタイヤの最低スタート内圧を1psi引き上げる通達も出した。スリックタイヤはフロント29psi、リア24.5psiに変更されている。
今週末のカタールGPではすでに、過負荷対策として「1セットあたり最大25周」の周回上限が課されている。その上、さらにパンクのリスクが加わったことで、各チームは一層、頭を抱えることになる。
鋭利な砂利を避けながら、限界ギリギリのタイヤマネジメントを強いられる今週末のレースは、過酷なサバイバルになるかもしれない。
2025年F1カタールGPスプリント予選でポールポジションを獲得したのはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)。2番手にジョージ・ラッセル(メルセデス)、3番手にはランド・ノリス(マクラーレン)が続く結果となった。
スプリントは日本時間11月29日(土)23時から、公式予選は同27時から1時間に渡ってロサイル・インターナショナル・サーキットで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。