9900万年前の新種の蜂に「ピアストリ」の名、F1での功績たたえる異例の栄誉に輝く

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サイエンスとモータースポーツという、本来交わることのない領域の予期せぬ接点に、現代のF1ドライバーの名が刻まれた。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、新たに発見された蜂の一種に名を冠されるという、実にユニークな栄誉を授かった。

パパイヤ色の琥珀が呼んだ連想

新種の名は「Gwesped piastrii(グウェスペド・ピアストリイ)」。ミャンマー北部産の古代の樹脂が固化した琥珀、通称「ビルマ琥珀」の中から見つかったアリガタバチ科の一種だ。命名にあたって研究チームは、F1キャリア9勝を誇る23歳のオーストラリア人ドライバーの名を選んだ。

論文には、命名の理由がこう記されている。

「種小名は、オスカー・ピアストリ氏のF1での功績をたたえるものである。また、筆頭著者にとって、この琥珀の色合いが、マクラーレンの象徴的なオレンジを想起させたからでもある」

ピアストリのつづりは本来「Piastri」であるが、学名上では末尾に「i」を一つ加えた「piastrii」となっている。これはラテン語文法に従い、「ピアストリの(蜂)」という所有を表す形に変化させたものだ。

サーキットのコーナーやスーパーカーなどの名前としてF1ドライバーの名前が刻まれるケースは珍しいものではない。だが、新種生物の名前に冠される例は、今回の件を除いて寡聞にして知らず、極めて異例と言える。

科学的理解を深める重要な発見

本研究を行ったのは、中国の南京地質古生物研究所の研究チーム。研究論文を掲載している査読付きの学術誌『Palaeoworld』(2026年6月号)に掲載された。なお、ピアストリは自身の高祖父を中国人であると明かしている。

化石が見つかったのは、ミャンマー北部カチン州フカウン盆地のノージェ・ブム・ヒルで産出した琥珀の塊だった。

ピアストリやマクラーレンのファンにとって嬉しいニュースであると同時に、この発見には昆虫学における学術的な意義もある。論文によれば、グウェスペド属に分類される蜂たちの体のつくりが、これまで知られていた以上に多様だったことが判明したという。

この蜂が地上で生きていたのは白亜紀中期、つまりT-Rexと呼ばれるティラノサウルスが地上を歩いていた時代より、さらに3000万年ほど古い。

化石となったのは体長およそ2.3mmのメスだった。植物の毛が周囲にまとわりつく、長方形の琥珀の中に閉じ込められた状態で、9900万年を過ごしてきたという。

そんな気の遠くなるような遥か昔の化石を顕微鏡でのぞき込んだ研究者の目に映ったのは、現代F1でトップを走るマクラーレンのパパイヤオレンジのような琥珀の色だった。