
F1テープゲートにまさかのオチ「かなり笑える!」とノリス、レッドブル罰金劇の裏にあった”くだらない攻防劇”
アメリカGPで発生した“テープゲート”が、思わぬ展開を迎えた。ピットウォールに貼られた“目印テープ”をレッドブルのメンバーが剥がそうとして罰せられた一件について、当のランド・ノリス(マクラーレン)は「実は使っていなかった」と明かし、「かなり笑える!」と笑みを見せた。
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われた決勝のフォーメーションラップ後、レッドブルのメンバー1名がゲート1付近の2番グリッド周辺エリアに再侵入し、ピットウォールに貼られたテープを剥がそうとした。これはスタート時、正確な位置にクルマを停めるための目印としてマクラーレンがノリスのために設置していたものだった。
一件についてスチュワードは、レッドブルが「安全確保のための作業を妨げた」として、5万ユーロ(約880万円)の罰金を科す決定を下した。そのうち半額は執行猶予付きで、2025年の残りシーズン期間に同様の違反がなければ免除される。
「特別製」テープで抵抗、剥がせず失敗
ところが、今週末のメキシコGPを前にノリスは衝撃の事実を明かした。レッドブルの努力は完全に空振りだったのだ。
「かなり笑えるね!オースティンで僕はあのテープを使ってなかったんだよ。剥がそうとしてくるのは分かってたし、実際そうしようとして失敗した挙げ句にペナルティを受けるなんて。まさに“ダブルパンチ”って感じだね」とノリスは笑い飛ばした。
イギリスの衛星テレビ局『Sky Sports』によると、ノリスはさらに「実はあれ、簡単に剥がせないように特別仕様にしてあったんだ」とも明かした。
マクラーレンはレッドブルの妨害を想定し、テープを縦長に細く切って一度に剥がせないように加工したり、二重に貼り重ねたりと試行錯誤を重ねていたという。さらに、レース直前までメカニックをテープの前に立たせるなど、徹底した対策を取っていた。
それでもレッドブルは剥がそうと試み続けたが、結局失敗に終わった。
Courtesy Of McLaren
インタビューに応じるランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月23日(木) F1メキシコGPメディアデー(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
9月から続く攻防、「観察するために貼ってる」
この“攻防”は今回が初めてではない。ノリスによれば、レッドブルは9月初旬のイタリアGPをはじめ、最近の複数のレースで同様の行動を取っていたという。
ノリスはこの目印テープを、これまでのレースの「5%」でしか実際には使用していないと明かすが、それでも今後もこれまで通り、テープを貼り続ける予定だ。
「右に寄りすぎたりしたときのためのバックアップなんだ。しばらく前から使ってるけど、彼らはすでにモンツァや他の場所でも剥がそうとしてた。むしろ、剥がそうとするのを観察するために貼ってるようなものなんだよ!」
「ちょっとした”サイドクエスト”みたいなものだね。チーム同士の暇つぶしって感じ。でも笑ったのは僕らの方だった」とノリスは勝ち誇った。
Courtesy Of McLaren
ガレージ前でファンサービスを行うランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月23日(木) F1メキシコGPメディアデー(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
フェルスタッペン「くだらない」、角田は視認性の問題を指摘
一方、ノリスのライバルであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、一連のテープ騒動について「しばらく前から続いてる、ちょっとしたくだらない事なんだ。僕はあまり気に留めてないけどね!」と、こちらも笑みを見せた。
チームメイトの角田裕毅は、現行マシンのコックピットからグリッドボックスのラインが見えにくいという根本的な問題を指摘。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は「補助の目印が必要かどうかは人それぞれだと思う」としつつ、「まあ、駆け引きの一種だよね」と付け加えた。
両チーム代表が合意、いたずら合戦に終止符
なお、アメリカGP後にマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラと、レッドブルのチーム代表ローラン・メキーズがこの件について協議。互いにいたずらじみたやり取りを終わらせることで合意したと見られている。
F1史に残るであろう、この奇妙な攻防戦は、880万円の罰金と”マクラーレンの圧勝”という形で、ようやく幕を下ろすことになりそうだ。