レッドブルの”違法侵入”の裏にあった「ノリスの目印テープ」一線を越えた駆け引きで880万円の罰金

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決勝直前、ライバルチームの“目印”を剥がそうとした行為が、思わぬ代償を招いた。2025年F1第19戦アメリカGPで発生したレッドブルの「グリッド再侵入違反」は、マクラーレンがピットウォール上に貼り付けていたダクトテープを取り除こうとした試みと関係していたことが、複数の専門メディアの報道で明らかになった。

フォーメーションラップ後の侵入で罰金5万ユーロ

既報の通り、フォーメーションラップ開始後、レッドブルのクルーが不正にグリッドエリアへ戻った行為について、FIAスチュワードは同チームに5万ユーロ(約880万円)の罰金を科した。このうち半額は、2025年シーズン末までの執行猶予付きとされている。

スチュワードの調査によると、問題の行為はレース開始直前、ゲート1付近の2番グリッド周辺で発生した。マーシャルがゲートを閉鎖しようとした際、レッドブルのチームメンバー1名が再びグリッドに立ち入り、制止にも応じなかったという。

標的はノリスの「位置取りマーカー」

レッドブルが注目していたのは、ランド・ノリスがグリッド上での位置決めに使用していた「目印テープ」だった。これは、マシンを正確に枠内へ停車させるために設けられた視覚的補助で、2番グリッドに隣接するピットウォール上部、ドライバーの視線とほぼ同じ高さに貼られていたとされる。

マクラーレンがこの取り組みを導入した背景には、開幕戦バーレーンGPでノリスがグリッド位置を誤り、ペナルティを受けた苦い経験がある。現行F1マシンのコックピットからは路面の白線が見えにくく、グリッドボックスから外れて停車し、ペナルティを受けるケースが度々発生している。

規則上は合法も、「再侵入」は明確な違反

競技規則上、こうした目印の設置を禁止する条文は存在しない。他チームがそれを取り除く行為も、原則として違反にはあたらない。したがって、レッドブルがダクトテープを除去しようとしたこと自体は処分の対象外となった。

問題視されたのは、オフィシャルの制止指示にもかかわらず、閉鎖のフェーズに入ったグリッドに侵入したことだった。フォーメーションラップ開始後は、グリッドから人員が完全に退避し、ピットウォール側のゲートが速やかに閉鎖される必要がある。レースの安全体制を脅かしたことが、今回の処分理由となった。

行き過ぎた駆け引きが「安全違反」に発展

報道によれば、レッドブルがマクラーレンの目印を除去しようとしたのは今回が初めてではない。こうした“心理戦”はF1では珍しくなく、グリッド上での細かな駆け引きはチーム間の常套手段でもある。

だが今回は、レースの安全確保に関わる重大なルール違反だった。FIAは、行為の意図ではなく、「安全確保のための手順を妨げた事実」を問題視した。今回の処分は、競技上の優位をめぐるチーム間の駆け引きが、一線を越えた事例として注目される。

執行猶予付き罰金という判断は、今後同様の行為が発生した場合、より厳しい制裁が下される可能性を示唆するものであり、レッドブルは以降、今回のような行為を控えるものと予想される。

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