日産、摩訶不思議なシート構成の近未来的EVコンセプト「Nissan IMs」を世界初公開
日産自動車株式会社は14日、2019年北米国際自動車ショーにて、電気自動車(EV)のコンセプトカー「Nissan IMs」を世界初公開した。同モデルは将来の「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」を指し示すもので、革新的なパッケージとパワートレイン技術を採用する。
セダンともクロスオーバーとも違う魅力的なフォルムの「Nissan IMs」は、驚くほど広い室内空間に「2+1+2」の独自のシートレイアウトを採用。回転式のフロントシートと小型アウトボードシートを両サイドに備えた高級感あふれる「プレミア」リアセンターシートが特徴的だ。
リアコンパートメントの中心を占めるのは、両側に小型アウトボードシートを備えた「プレミア」シート。アウトボードシートの背もたれを倒すとアームレストになり、座席中央の背もたれをリクライニングしたり、オットマンを使用することができるという。
自動運転時にはステアリングは格納され、フロントシートを内側に15度回転させる事で後部座席と会話しやすい配置に変更でき、快適にくつろぐことができる広々とした空間が生まる。計器パネルやドアトリムの形状は月面探査機や屏風にヒントを得たようで、実に近未来的な雰囲気が漂う。
4枚の小型スクリーンを配した横長の薄型パネルは、情報を水平方向に配置することで目の動きを最小限に抑え、ドライバーの負担を軽減。運転席正面に配置した二層式のメーターは、一層目にドライバーが運転に集中できるように重要な情報のみを表示し、二層目には必要に応じてその他の情報を表示する。
車内に設置されたセンシングプラットフォームは、センサーとカメラの情報を使ってドライバーの状態をモニター。何らかの理由でドライバーが車を制御できなくなった場合には、センシングプラットフォームがその状態を感知して、クルマを安全な場所に停止させる。
仮想世界と繋がることでサービスやコミュニケーションの可能性を無限大に広げ、ドライビングをより便利で快適、エキサイティングなものにする「Invisible-to-Visible(I2V)」技術を搭載。運転の楽しさを向上させるため、例えばアバターが車内に現れるなどし、人間のようなインタラクティブな方法で運転をサポートする。
フロントとリアには高性能モーターを採用し、115kWhの大容量バッテリーを搭載したパワートレインは、360kWの出力と800Nmのトルクを発生。一充電あたりの走行距離は612kmに上るという。前後モーターによる4輪駆動システムは高いコーナリング性能を発揮。路面の状況と運転モードに合わせ、乗り心地とハンドリングを調整できる最新式のエアサスペンションが搭載される。
外観には刺激的なスタイルをまとうが、シンプルと言うよりも、未だ何処か煮詰まっていない印象を与える。日産によると、ハイテクと日本伝統の職人技を融合を目指しているという。日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員のアルフォンソ・アルバイサは次のように説明する。
「日産の歴史と伝統を振り返ると、初代『ムラーノ』や『Z』 などは、どれもシンプルなシルエットであることに改めて気が付きました。シンプルなデザインは、おのずと高級感を高めます。例えば、直線的でシンプルなトランクラインは、それ自身が高級感を生み出しているのです」