一向に決まらない次期F1タイヤメーカー、ブリヂストン不利か…ピレリ続投に傾くチーム
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未だに発表されないこの状況はブリヂストンにとって朗報なのか。それとも逆に入札を勝ち取る可能性が低くなってきている事を意味するのだろうか?
F1チーム側の雰囲気は、どちらかと言えばブリヂストンの復帰よりもピレリの続投を予想、あるいは期待する方向に傾いてきているように感じられる。
決定「かなり遅い」とアルファタウリ
2025~2027年のF1公式タイヤサプライヤー入札に関しては当初、サマーブレイク中の決定が予想されていたが、休みが明けても一向に次のニュースは入ってこない。
ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラはモンツァで「この入札は非常に複雑で、F1やFIA、F1チームだけでなくF2やF3、F1アカデミーといったサポートシリーズにも適用されるため、議論しなければならない詳細が多く、非常に複雑なパッケージ」であるとして、現時点では何もアップデートはないと説明した。
現在行われているのは、FIAによる技術面の審査を突破したピレリとブリヂストンの2社によるリバティ・メディアとの商業交渉だが、イゾラによるとこの交渉に期限は設けられていないという。
一向に次期タイヤメーカーが決まらない状況について、今季末限りでチーム代表を退任するアルファタウリのフランツ・トストはザントフォールトで「かなり遅い」と指摘し、「幸いな事に私の問題ではないがね」と付け加えた。
刻々と迫る2025年、レッドブルはピレリ続投希望か
休み前のスパで行われたF1コミッションでは、技術的ハードルが高いと考えられていたウォーマー不要タイヤの導入が延期された。
これはブリヂストンにとって追い風との見方があるが、フェラーリのフレデリック・バスール代表は、自分たちがピレリを望むかどうかは別にしても、決定が長引く状況はブリヂストンにとって良い兆候とは考えていない。
バスールはブリヂストンが準備をするのに「手遅れかどうかは分からない」としつつも、2025年と2026年用で各々、異なるタイヤを短期間で開発する事は技術的に「かなりの挑戦」である事は間違いないとした上で、これに加えてFIA-F2選手権を含むジュニアシリーズに関するタイヤも並行して検討しなければならないのは「スコープが非常に広範」だと指摘した。
ダウンフォースが大幅に上昇した現行マシンのF1タイヤ開発が技術的に困難との見方と、テストカーの調達や費用面を含むブリヂストンのテストプログラムに対する疑念の声はチーム代表の中では一般的で、特にハースのギュンター・シュタイナー代表はサマーブレイク後も一貫してこの点を訴え続けており、ブリヂストンの復帰に否定的なスタンスだ。
ウィリアムズのジェームズ・ヴァウルズ代表は、ピレリとブリジストンのどちらになっても「支えていくつもりだ」としつつも、仮に後者に決定した場合、どのチームが担当するのかという点でテストプログラムが問題になると指摘し、更に「現代のF1マシン用のタイヤを製造するための技術的課題は並外れている。おそらく20年前ほど簡単ではない」「現在のダウンフォースレベルは桁違いだ」と強調した。
ピレリ続投への期待と受け取れる発言を口にするチーム代表もいる。
2007~2010年にかけて日本のタイヤメーカーと共に仕事をした経験を持つレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は7月初旬の段階で「いずれも質の高い会社だ」として、どちらが選ばれても歓迎する意向を示していたが、やや心変わりがあったようだ。
ホーナーは2025年が迫る中、ブリヂストンが準備を整えるのに「遅すぎる事はない」としながらも、「ピレリと共に続けたい理由がたくさんある」として、イタリアのタイヤメーカーを推した。
「ピレリは素晴らしい会社だし、入札に際してはプロモーターとチームに寛大な条件を提示したと確信している」
マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、未だ次期タイヤサプライヤーが決まっていないのは、車体開発の面でチームとしては「問題ないと思う」としながらも、「タイヤメーカーの視点で言えば厳しくなっているように見えるため、早く決定がなされればと思う」と語った。