ニューウェイ、ルノー元CEOゴーンの一言に愕然…フェラーリとのF1移籍交渉振り返る

レッドブル・レーシングの最高技術責任者を務めるエイドリアン・ニューウェイ、2022年10月2日のF1シンガポールGP決勝レース終了後Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・レーシングの最高技術責任者(CTO)を務めるエイドリアン・ニューウェイは2014年のフェラーリとの移籍交渉を振り返り、当時のF1サプライヤーであったルノーの元CEO、カルロス・ゴーンが発した一言に「本当に気が滅入った」と明かした。

レッドブルはセバスチャン・ベッテルと共に4連覇を果たすも、2014年に1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンがF1に導入されると一転、一気に競争力を失い、優勝争いから遠ざかった。フェラーリが移籍を持ちかけたのはこの時だった。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

2014年12月2日、イギリス・ミルトンキーンズのレッドブル・レーシング・ファクトリーで最高技術責任者のエイドリアン・ニューイを抱きしめるセバスチャン・ベッテル

ポッドキャスト「Beyond The Grid」の中でニューウェイは、自身はレッドブルに満足しており「本当に辞めたくはなかった」としながらも、「ルノーが競争力あるハイブリッドターボを作り上げることができなかった」がために、「純粋なフラストレーション」から将来を再検討したと明かした。

「新しいルールが導入された最初のシーズンにそれは起きた。我々は誰もが皆、間違いを犯すものだ。ただ我々はクリスチャン(チーム代表のホーナー)、ヘルムート(モータースポーツ・アドバイザーのマルコ)と共にカルロス・ゴーンと会い、予算を増やすよう圧力をかけた」

「ゴーンの答えは『私はフォーミュラ1に興味はない。私がフォーミュラ1に参加しているのは、私のマーケティング担当者がそうすべきだと言っているからだ』というものだった。本当に気が滅入った」

最終的にレッドブルに留まる事を選んだニューウェイは、トロ・ロッソでの成功を経てホンダがルノーに代わるパワーユニット・サプライヤーになった事でモチベーションを取り戻し、2021年にマックス・フェルスタッペンと共に8年ぶりにドライバーズ・チャンピオンシップを制した。

ニューウェイは2014年を含めて3度に渡ってフェラーリからラブコールを受けたが、いずれもこれを断った。

最初はマーチ・エンジニアリングでのインディカー時代。そして2回目はジャン・トッドがフェラーリに加わった1993年の事だった。

トッドはこの時既に、後の7度のF1ワールドチャンピオン、ミハエル・シューマッハに目をつけていた。ニューウェイは「マイケルを雇うべきかどうかについて彼が話をしていたのを覚えている」と振り返った。

トッドからのアプローチは「本当に魅力的」であったが、イギリスとアメリカを行き来していたマーチ時代に離婚を経験したニューウェイは当時、再婚したばかりであり「同じ過ちを犯したくなかった」ため、この申し出を断った。

マラネッロの伝説的チームに移籍しなかったことに後悔はあるかとの質問にニューウェイは「感情的に言えば、おそらくある程度はイエスだ」と答えた。

「それは例えば、フェルナンド(アロンソ)やルイス(ハミルトン)と仕事ができたら最高だったかもしれないのと思うのと同じようなものだ。でも、そんなことは決して起こらなかった」

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