F1新車解説:ウィリアムズの2022年型「FW44」第三のサイドポッド処理
アレックス・アルボンとニコラス・ラティフィが駆るウィリアムズ・レーシングの最新作「FW44」が2月15日(火)、英国シルバーストン・サーキットでシェイクダウンを行った。
同じ日のローンチイベントでお披露目されたのはFIAモデルに今季仕様のリバリーを施しただけのレンダリングであったが、無論、シェイクダウン仕様は実車だ。
実車を収めた公開画像は2枚しかなく情報はかなり限定的だが、せっかくなので駆け足でFW44の特徴を見ていきたい。
まずはフロントエンド。目を引くのは丸みを帯びたノーズだ。羽は規定上限の4枚構成で、非常に薄いノーズの先端は1枚目ではなく2枚目との一体型のように見える。この点はマクラーレン「MCL36」やアストンマーチン「AMR22」と同じだ。
ただしメインプレーンと地面との間の空間形状に着目すると、アンダーフロア及びベンチュリートンネルに向けてどのように気流を導くかという点でのアプローチの違いが見えてくる。
フロントサスペンションは2対の平坦なウィッシュボーンを備えた従来型のプッシュロッド式。リアはプルロッド式だ。フロントのブレーキダクトはデブリ混入防止のスリットが主張する。
ウィリアムズはパワーユニットとギアボックスをメルセデスからの供給に頼る一方、サスペンションは内製化している。
マシン | フロント | リア |
---|---|---|
アルファタウリ「AT03」 | プッシュロッド | プルロッド |
マクラーレン「MCL36」 | プルロッド | プッシュロッド |
アストンマーチン「AMR22」 | プッシュロッド | プルロッド |
アルファロメオ「C42」 | プッシュロッド | プッシュロッド |
ウィリアムズ「FW44」 | プッシュロッド | プルロッド |
サイドポッドからテールエンドにかけての今季注目の空力的アプローチはライバルチームと大きく異なっているように見える。
ラジエターの吸気口はとてつもなく巨大な三角形状で、中のサイド衝撃構造が丸見えだ。サイドポッドそのものはリアに向けて大きく下降した後、ボディーワークと溶け合うように融合されており、アンダーカットが全くないように見える。
冷却システム全体を可能な限り車体前方に集中させ、リアをできるだけスリムにまとめ上げたような印象だ。
リアウイングは1本のパイロンで支えられている。インダクションポッドもまた、ラジエーター・ダクトと同じ様に非常に大きい。フロアのリーディングエッジ(端)はリアタイヤの直前部分を除いて目立った処理はなく、実戦仕様ではなさそうだ。