フェルスタッペン「使わざるを得なくなった」角田裕毅契機のVSCと終盤セーフティーカーで割を食う
2年連続の母国ポール・トゥ・ウインを飾った9月4日のF1オランダGP決勝を経てマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、角田裕毅(アルファタウリ)のマシンストップに伴い導入されたバーチャル・セーフティーカー(VSC)は自身にとって不利に働いたとの考えを示した。
メルセデスのトト・ウォルフ代表が、仮にタイトル争いの立場にあれば「入念に調べる」と発言するなど、奇妙な経緯を経て導入されたVSCに関しては、一部に陰謀論が飛び交う。
それは、姉妹チームのドライバーを理由とするVSCによってシニアチームのフェルスタッペンがロスタイムを最小限に抑えてタイヤ交換を行い、1ストッパーを狙っていたメルセデス勢の後ろに下がる事なくラップリーダーの座を維持したためだ。
だがフェルスタッペンに言わせれば、VSCはリードと優勝が脅かされる不運な出来事でしかなかった。
VSC導入、望まぬハード
首位を走行している最中に2度に渡ってセーフティーカー(VSC含む)が導入されるという「一筋縄にはいかなかった」レース全体を振り返るよう求められたフェルスタッペンは、「兎に角、大変だった」と語った。
「タイヤに関しては自分の意見を伝えていたと思う。ハードタイヤは使うなってね。でもVSCの関係で使わざるを得なくなってしまった。あれはちょっと不運だった」
「実際、ミディアムを履いたメルセデス勢と比べて、ハードコンパウンドでの僕らは明らかにペースが少し足らなかった」
トラックポジションを失わない状況にある場合、VSC導入下でピットに入らないという選択肢は原則あり得ない。
フェルスタッペンの発言からは、レッドブルが最後のスティントでミディアムを計画していた事がうかがえる。
だが残り周回数の観点からVSCのタイミングでミディアムに履き替えるわけにいかないため、止むなくハードを履いたという事のようだ。
ステイアウトは土台無理
更に、終盤にはバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)のマシンストップによって”リアル”な方のセーフティーカーが導入された。
熱入れが悪いハードを履いたままステイアウトすれば、リスタート後の数周に渡ってタイムとポジションを大きく失う事になる。フェルスタッペンはまたもピットストップを余儀なくされた。
「ハードタイヤでステイアウトするのは土台無理な話だった」とフェルスタッペンは語る。
「だからピットに入らなきゃならなかったわけだけど、僕の方からは要求しなかった。正しい判断を下すためにはチームを信頼しなきゃならない」
「それで彼らは僕をピットに呼んだ。そしてソフトタイヤに交換し、もちろん、その後、ポジションを下げた」
「でも、ジョージ(ラッセル)もその後、ソフトに交換するためにピットに入ったから僕らは2番手に浮上した」
「それでまぁ意外にもリスタートがかなり上手くいって、メルセデスより速いトップスピードでターン1に向かって行けたんだ」
リスタート直後のターン1でルイス・ハミルトン(メルセデス)を捉えたフェルスタッペンは首位を奪還。そのままトップチェッカーを受けた。
意外だったメルセデス
大方の予想とは裏腹に、この日はペース面でフェラーリが奮わず、メルセデスの活躍と速さが目立った。
ライバルがフェラーリではなくメルセデスだった事に驚いたか?と問われるとフェルスタッペンは次のように答えた。
「僕は兎に角、彼らが硬めのコンパウンドであれだけ速かった事に驚いた。C1とかC2というのは本当に固くて、彼らがあれほど上手く機能させられるとは思ってなかったんだ」
「その事が僕らにとって少しばかり複雑な状況を生んだわけだけど、ソフトタイヤに履き替えた後は対抗できるようになった」
「でもまあ、そうだね、彼らはもう少し遅いだろうと思っていたし、フェラーリはもう少し速いだろうと思ってた」
2022年F1第15戦オランダGPの決勝は、母国出身のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季10勝目を挙げた。2位はジョージ・ラッセル(メルセデス)。3位表彰台にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が滑り込んだ。
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