イギリス国旗(ユニオンジャック)とFIA及びF1旗、2015年F1イギリスGPにて
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F1:判断保留は事態の悪化の元凶…2020年シーズンの全面中止を訴えるFIA元会長マックス・モズレー

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ポール・リカール・サーキットで開催が予定されているF1第10戦フランスGPの中止が不可避となる中、マックス・モズレー元FIA会長は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡る世界情勢を受け、F1世界選手権は2020年シーズン全体を放棄すべきだと訴えた。

時間の経過とともに今季のF1を巡る状況は悲惨さを増している。カナダまでの第9戦は公式に中止あるいは延期され、フランスに関してはエマニュエル・マクロン大統領が13日(月)に、少なくとも7月中旬までは大規模イベントを開催する事はできないと明言した事から、事実上、スケジュール通りの開催の可能性が消滅した。

ジャン=マリー・バレストルの後任として1991年にFISA会長の座につき、セックススキャンダルのために2008年に失脚するまでの間、FIA会長としてF1の制度改革を断行し続けたモズレーは、ドイツ通信社とのインタビューの中で次のように述べ、判断の保留は事態の悪化に繋がると指摘した。

「ただ待ち続けても、確実な利益が得られないまま事態を悪化させるリスクがある。7月にレースが再開できる保証はない。実際のことろ、可能性は一層低下しているようにみえる」

新型肺炎による混乱の収束の見通しが立っていないにもかかわらず、F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは先週、最低でも8戦、上手く行けば19戦を開催できると述べ、楽観的な姿勢を示していた。

モズレーは、いたずらにファンや利害関係者に期待を抱かせず、一刻も早く今シーズン全体の打ち切りを決定すべきだと考えており、リバティ・メディアのチェイス・ケアリーCEOとFIAの現会長を務めるジャン・トッドに決断を促す。

その理由についてモズレーは「(中止されれば)チームやレースプロモーターは確実性を得る事ができる。それによって彼らは計画を立て行動を起こすことができるだろう」と説明した。

「このパンデミックが世界的に見てどう転ぶかが分からない限り、F1にとって合理的な計画を立てることは不可能だ」

F1は今、パンデミックによって大幅な減収が見込まれており、賞金に頼るウィリアムズやハースなどの小規模チームの存続が脅かされている。

首脳陣とチーム代表らはチームの財務面への影響を最小限に抑えるための案の1つとして、来年導入が予定されているコストキャップの予算上限額の引き下げを議論しているが、F1に最初に予算上限案を持ち込んだのはモズレーだった。