なぜ2度も速度違反でペナ連発? 背景にローソンとの接触 ― サインツを襲った「雪だるま式」悲劇の真相

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2025年F1第20戦メキシコGP決勝で、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)は、2度にわたるピットレーン速度超過によって5秒ペナルティとドライブスルー・ペナルティを科されるという、屈辱的な展開に見舞われた。

だが、この異例の事態を招いた原因はドライバーエラーではなかった。背景には、1周目のターン1でフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)を含む三つ巴のバトル中に起きた、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)との接触事故があった。

1周目のターン3でルイス・ハミルトン(フェラーリ)をリードするランド・ノリス(マクラーレン)と、ターン1をカットするカルロス・サインツ(ウィリアムズ)とリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)Courtesy Of McLaren

1周目のターン3でルイス・ハミルトン(フェラーリ)をリードするランド・ノリス(マクラーレン)と、ターン1をカットするカルロス・サインツ(ウィリアムズ)とリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)、2025年10月26日(日) F1メキシコGP決勝レース(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)

悪夢の起点:T1の接触とセンサー破損

すべては1周目のターン1で始まった。中団の混戦の中、サインツはターン1の出口でローソンと接触。これにより左フロントに深刻なダメージを負った。そしてこのアクシデントが、彼のレースを決定づけた。

チーム代表のジェームズ・ヴァウルズは「カルロスのレースは、ターン1で終わってしまった」と振り返る。

「2台しか入れないスペースに3台が同時に飛び込んでいった。カルロスの左フロントにかなりの衝撃が加わった。当初はそれほどでもないように見えたが、実際には深刻なダメージを受けていた」

「その後、周回ごとに酷いバイブレーションが発生し、結果的にフロント左右のホイールスピードセンサーが失われ、アクスル内の他のセンサー類にも影響が出た。それだけ振動が激しかったということだ」

リミッター不作動と“染み付いた感覚”の罠

そこでウィリアムズは、マシンの状態確認のためにピットストップを指示した。だが、ここで最初の不運がサインツを襲う。

センサー故障によりピットリミッターが作動せず、制限速度80km/hをわずか0.2km/h超過。これにより5秒ペナルティが科されたのだ。

致命的だったのは2回目のピットストップだ。1度目の反省を踏まえ、サインツは安全策として73km/hという控えめな速度でレーンに進入。だが、ピットアウトの際に悲劇が起きた。

トップドライバーとして体に染み付いた“コンマ1秒でも速く”という感覚が、無意識のうちに彼を加速させたのだ。その結果、制限速度を9.8km/hもオーバー。レースを完全に終わらせるドライブスルーペナルティが下された。

ヴァウルズは「ドライブスルーがなければ、あらゆるトラブルを抱えながらもカルロスはポイント争いに加われていたはずだ」と悔しさをにじませた。

2025年F1第20戦メキシコGPのフリー走行中走りを見守るジェームズ・ヴァウルズチーム代表(ウイリアムズ)、2025年10月24日エルマノス・ロドリゲス・サーキットCourtesy Of Williams

2025年F1第20戦メキシコGPのフリー走行中走りを見守るジェームズ・ヴァウルズチーム代表(ウイリアムズ)、2025年10月24日エルマノス・ロドリゲス・サーキット

嘆くサインツ「不公平なペナルティの代償」

サインツはレース後、「“雪だるま式”に状況が悪化して、ポイントを失ったレースだった」と肩を落とした。

「ピットレーンを通るたびにトラブルが起きた。センサーがスピードを正しく読み取っていなかったんだ。すべてはあのターン1の接触から始まった」

さらに、そもそも中団からスタートせざるを得なかったことにも不満を口にした。

本来なら7番グリッドからのスタートだったが、前戦アメリカGPでアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と接触した件により、5グリッド降格のペナルティを受け、12番手に後退していた。

「7番手からスタートできていれば、こんなことにはならなかったと思う。オースティンでの不公平なペナルティの代償を、今日払うことになった」

サインツはオースティンで、アントネッリが自身の期待に反して「スペースを残さず、通常より早くターンイン」したため、接触を避けようとしてブレーキがロックしたと釈明。自身に非はないと主張していた。

そして迎えた皮肉な結末

不運の連鎖は最後までサインツを苦しめた。だが、皮肉にも実際にレースを終わらせたのは、ドライバー自身のミスだった。

ヴァウルズは「カルロスは最後まで懸命に走ったが、ミスでリアを壁に当て、レースを終えることになった」と説明した。

このリタイアが残り2周でのバーチャル・セーフティーカー(VSC)の導入を引き起こし、図らずもタイトル争いにまで影響を及ぼす結果となった。

2025年F1第20戦メキシコGPでインタビューに答えるカルロス・サインツ(ウイリアムズ)、2025年10月26日エルマノス・ロドリゲス・サーキットCourtesy Of

2025年F1第20戦メキシコGPでインタビューに答えるカルロス・サインツ(ウイリアムズ)、2025年10月26日エルマノス・ロドリゲス・サーキット


2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レースは、ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻のポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。

インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月7日のフリー走行1で幕を開ける。

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