スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレール、2020年シュタイアーマルクGP開幕前日
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閉ざされたメルセデスとルノーの扉…どうなるベッテル?「レッドブルからのオファーがあれば断る理由はない」

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ダイムラー会長はルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの続投への期待を口にし、ルノーは2021年のエステバン・オコンのチームメイトとしてフェルナンド・アロンソの起用を発表した。メルセデスとルノーへの扉が閉ざされた今、事実上、今季末でフェラーリから契約を打ち切られたセバスチャン・ベッテルの将来はどうなるのか?

ダラダラ参戦し続ける気はない、とベッテル

第2戦シュタイアーマルクGPの初日を翌日に控え、F1公式プレスカンファレンスに出席したベッテルは「今のところ、すべてがオプションだ」と述べる一方で、トップレベルで競い合える可能性を見いだせないチームで走るつもりはないと主張した。

「僕に今も競争力があることは秘密ではない。このスポーツで多くのことを成し遂げてきた。僕としてはただ単に参戦するだけでなく、もっと多くのことを成し遂げたいと思っている」

4度のF1ワールドチャンピオンは、ルノーとは軽い話し合いの場は持ったものの本格的な交渉には至らなかった事を明かし、来季以降もキャリアを継続する意志を表明した。だが、見渡す限り有望な空きシートはない。ベッテルは2021年シーズンのグリッドに立てるのだろうか?

開幕オーストリアGP決勝レースの翌日6日(月)の夜、ベッテルはフェルスタッペン、ピエール・ガスリー、クリスチャン・ホーナー代表と共に、レッドブル傘下のテレビ局「ServusTV」の番組に出演した。この事から、特に憶測が浮上したというわけではないが、古巣への復帰の可能性を問う質問が投げかけられると、ベッテルは次のように返した。

「(レッドブル・ホンダのマシンは)勝てるマシンだし、僕は競い合うためにここにいる。だから、おそらく答えは”イエス”だろうね」

ベッテル自身はオファーがあるとは考えていないようだが、仮に席が空くとすればアレックス・アルボンのシートだ。それはすなわち、次世代の若手の中で最も高く評価されているドライバーの1人であるマックス・フェルスタッペンをチームメイトに持つ事を意味する。

「僕は基本的に、勝ちたければ(チームメイトが)誰であれ喜んで引き受けなきゃならないという信念を持っている」とベッテル。

「過去に所属していたわけだから、レッドブルのことについては当然良く分かっている。今もクリスチャン(ホーナー、チーム代表)やヘルムート(マルコ、アドバイザー)、その他にもたくさんの人たちとコンタクトを取っているしね」

「ただその一方でServusTVへの出演の件は、将来のこととは何も関係ない」

「レッドブルはウイニングカーを持っているし、彼らは非常に強いチームだ。僕は彼らが昔からどれだけ強かったか知っている。確かにチームの一部は当時とは変わっているしチーム自体も進化しているから、僕がチームの内情を知っているというのはフェアじゃない」

「でも、当時のチームがなぜ強かったのかは知っているし、彼らは今でもF1の有力チームであり、レースで勝てるマシンを持っているわけなのだから、そうなれば(レッドブル・ホンダへの移籍が現実的な選択肢になれば)面白いだろうね」

レッドブル・ホンダはアルボン続投で決まり?

ベッテルが、レッドブル・ホンダがアルボンとの契約を更新するのは間違いないと考えているように、英国ミルトンキーンズのチームと2023年末まで契約を結んでいるフェルスタッペンもまた、そのように考えている。

「今のところ、チームは僕ら2人にとても満足していると思うし、僕としてもチームメイトとしてのアレックスに凄く満足してる。まず第一彼は凄く良いヤツなんだ。チーム全員によって嬉しい事だ」とフェルスタッペンは語る。

「それに彼はセットアップが得意だから、僕らは2人でチームに良いフィードバックをもたらしている。それに彼にはスピードがある。だから変える理由はないと思うし、クリスチャンとヘルムートがバックアップしてくれると思う。まぁ決めるのは僕じゃないけどね」

レーシングポイントへの移籍の可能性は?

ベッテルがレッドブルへ移籍する姿をイメージすることは難しい。そうなるとすると、残るチームの中で高いパフォーマンスが期待できそうな選択肢はレーシングポイントに限られてくる。

今シーズンのダークホース的立場を確立した英国シルバーストンのチームは、来季より英国の高級自動車メーカーの支援を受け「アストンマーティン・レーシング」を名乗り、更に上を目指していく。

ベッテルはレーシングポイントへの移籍の可能性を問われると「チームの一部の人達は昔からの知り合いで長い付き合いなんだ。今年は良いマシンを用意できているし、彼らにとって上を目指す上で良いチャンスだと思う」と返し、次のように付け加えた。

「現時点ではすべてがオプションだ。キャリアを続けるか、休むか(サバティカル休暇)、リタイアするか。さっきも言ったけどまだ決断は下していない」

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