トロ・ロッソのテクニカル・ディレクターを務めるジェームス・キー
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マクラーレンF1、トロロッソ・ホンダの要人ジェームス・キーの引き抜きを正式発表

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マクラーレンF1チームは第12戦ハンガリーGP開催を直前に控えた2018年7月26日、スクーデリア・トロロッソのジェームス・キー(46歳)を引き抜き、同チームのテクニカルディレクターとして起用する事を明らかにした。F1界で高い評価を受けるキーは、ガーデニング休暇を経てワーキングに拠点を置く英国チームに合流する。

技術流出を防ぐための解決策の一つとして、F1においては他のチームへ移籍する場合、一定期間の休暇を経て次のチームに合流することが慣例となっている。キーがマクラーレンでの新しい役割に着任する正式な時期は未定だが、情報筋によれば、早期移籍を求めるマクラーレンは同チームの育成ドライバーを務めるランド・ノリスのレンタル移籍をカードに、トロロッソ側と休暇期間の短縮を協議していく考えであるという。

不振が続くマクラーレンは現在、過去の栄光を取り戻すべくマネジメント層の人事体制の再編に着手。母国イギリスでのグランプリに先立って、エリック・ブーリエを更迭しジル・ド・フェランをスポーティング・ディレクターとして起用。アロンソの担当エンジニアを務めるアンドレア・ステラをパフォーマンスディレクターに昇格させた。

キーの手がけたホンダエンジンRA618Hを搭載するSTR13は、今季第2戦バーレーンGPで4位入賞の快挙を達成。パドック中が称賛を集めた。キーはかねてより地元イングランドで仕事を続ける事を熱望していたとされ、それが今回の移籍の一因となったものと考えられる。

ジェームス・ロバート・キーは、イギリス・チェルムズフォード出身のF1エンジニア。2012年9月6日にスクーデリア・トロ・ロッソのテクニカルディレクターに就任、マシンコンセプトの立案、デザイン、製造監督を担当し、技術部門の責任者としてチームを率いてきた。

ノッティンガム大学で機械工学を専攻した後、1998年にジョーダンに加入。その後2005年に買収されミッドランドと名を変えたチームに残り、佐藤琢磨のレースエンジニアを務めた。同年末には、33歳という異例の若さでテクニカルディレクターに起用された。

2010年にザウバーに移籍すると、以降2年間に渡って小林可夢偉と共に働いた。キーの手がけた12年のザウバーC31は、中堅チームとしては驚異的な速さを見せ、ザウバー史上初となるシーズン4度の表彰台を獲得をもたらした。サム・マイケルと並び、若手の有能なエンジニアとして高い評価を受けるキーは、以前フェラーリ入りの噂が流れた事もある。

かつて英国の名門と称されたマクラーレンは、2013年以降は一度も優勝出来ておらず、長引く低迷に苦しみ続けている。ホンダバッシングを繰り広げることで、今年念願のルノーエンジンを手に入れたものの、依然として予選最終ラウンド進出すら厳しい状況にあり、シャシーの性能不足を露呈したに過ぎなかった。

マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンは、マクラーレンが再び先頭争いに返り咲くためには最長10年に及ぶ長い年月が必要だとの認識を示しており、キーの起用は常勝復活に向けた長期的なプランの一環とみられている。

マクラーレンがジェームス・キーの加入を正式に認めたことに対してスクーデリア・トロロッソはフランツ・トスト名義で短い声明を発表。キーとの間には長期的な契約があるとして、マクラーレンを強く牽制した。

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