フェリペ・マッサ、FIAとF1を提訴…2008年シンガポールGPでのクラッシュゲートを巡り
2008年のシンガポールGPで発生したクラッシュゲート事件を巡り、元F1ドライバーのフェリペ・マッサが国際自動車連盟(FIA)、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)、そしてバーニー・エクレストンを相手取り、ロンドン高等裁判所に提訴した。
2008年に1ポイント差でドライバーズタイトルを逃したマッサは、同年のF1シンガポールGPのリザルトは無効になるべきだと考えており、失った賞金やチャンピオン獲得により得られずはずだった潜在的な契約を含む損害の賠償を求めている。
報道によるとマッサが求めている損害賠償額は8,200万ドル(約120億円)相当に及ぶ。
マッサの代理人を務めるブラジルの法律事務所、ヴィエイラ・レゼンデは2024年3月11日(月)、提訴の事実を公表するとともに、FIAが「適切に対処していれば、マッサはその年のドライバーズ選手権を勝ち取っていただろう」と述べた。
「マッサ氏はまた、エクレストン氏とFOMも加担したFIAの失態によって被った多大な金銭的損失に対する損害賠償も求めている」
16年前のF1シンガポールGPでは、ルノー首脳陣の指示を受けネルソン・ピケJr.が僚友フェルナンド・アロンソを勝たせるために故意にクラッシュするという、いわゆる「クラッシュゲート」と呼ばれる事件が発生した。
このシンガポールGPが選手権から除外、あるいは事故発生前の時点の順位がリザルトとして認定されていれば、ドライバーズ選手権タイトルはマッサ(当時フェラーリ所属)のものであった。
マッサは同年、最終戦ブラジルGPの最終周の最終コーナーでルイス・ハミルトンがティモ・グロックをオーバーテイクした事により1ポイント差でタイトルを逃した。
マッサが訴訟を決意したのは、当時のFOMを率いていたエクレストンの暴露話がきっかけだった。
F1のかつての最高経営責任者は昨春、2008年中にクラッシュゲートの真相を知りながらも、自身と当時のFIA会長マックス・モズレーはそれを隠蔽していたと認めた。この発言についてエクレストンはその後、何も覚えていないと主張した。
声明には「友好的な解決策を見出そうとの試みは上手くいかず、マッサ氏には法的手続きを開始する以外の選択肢が残されていない」とも記されている。
「最近の出来事は、F1における透明性と完全性の問題が依然として関連していることを当然のことながら示しており、F1の信頼性と長期的な未来を回復するために真剣な取り組みが必要であることは明らかだ」
マッサは弁護団を通して昨夏、2008年のF1ドライバーズタイトルを巡る訴訟通告書をFIAとFOMに送付したが、両組織が3回に渡って回答期限を延期するよう求めてきたことから、これに応じた。期限は2ヶ月延期された。