レッドブル重鎮マルコ、角田裕毅とリカルドのF1初対決をジャッジ
アルファタウリ僚友対決2戦を経て、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ダニエル・リカルドが既に角田裕毅に迫るパフォーマンスを発揮しているとの一発目のジャッジを下した。
即戦力としての活躍が期待されたニック・デ・フリースは改善の兆しがないとしてサマーブレイクを前に更迭され、8度のグランプリウィナーであるリカルドがハンガリーGPより、古巣ファエンツァのチームにカムバックした。
復帰初戦のハンガロリンクでは早速、予選・決勝共に角田裕毅を上回る走りを見せた。マルコは独「Motorsport-Magazin」とのインタビューの中で「チームのムードやモチベーションの面で、今回の変更は大いにポジティブな効果をもたらしている」とした上で、ドライビング面でも納得のパフォーマンスを発揮していると評価した。
「デ・フリースは平均して(角田裕毅に)コンマ3~5秒遅れていたが、リカルドは角田と互角ではないにせよ、その差は遥かに小さい」
ただ、続くベルギーGPでは角田裕毅が本領を発揮。予選11番手からの10位フィニッシュを果たしてリカルドを打ち負かし、コンストラクターズ選手権最下位のアルファタウリに貴重な1ポイントを持ち帰った。チームが前半戦で獲得した全てのポイントは角田裕毅によるものだ。
シーズン途中でのドライバー交代は常に注目の的だが、角田裕毅とリカルドのチームメイトバトルがパドックの関心を集めるのには他にも理由がある。
リカルドがセルジオ・ペレスの後任として2025年のレッドブルのシートを狙っている事は周知の事実だ。2022年末にマクラーレンから弾き出されたリカルドは、ハースからのオファーに目もくれず浪人生活を選んだ。あくまでもトップチームでのドライブを目指していたためだ。
しかしながら、仮にペレスの契約が更新されず2年後のマックス・フェルスタッペンのチームメイトが未定となっても、候補者リストに並ぶのはリカルドだけではない。
マルコは「勿論、ホンダも関わってくる」とした上で、「ユーキ・ツノダは着実に力をつけ、感情もコントロールできるようなったし、フィジカル的にもレースを走りきれるようになった」と語った。
2021年に最高峰クラスから撤退したホンダは2025年末まで引き続き、レッドブルおよびアルファタウリにパワーユニット一式を供給するが、次世代パワーユニットが導入される2026年以降はアストンマーチンとタッグを組むため、ホンダの支援を受ける角田裕毅を巡る状況は複雑だ。
ただ重要なのは2年後よりも来季のシートだ。チーム名称の変更が計画されているアルファタウリは2024年のドライバーラインナップが確定しておらず、角田裕毅もリカルドも契約を持ち合わせていない。
「残り9レースでどうなるか見てみるつもりだ」とマルコは語る。
「小雨が降った際のミドルセクターで少し慎重すぎたため、もしかしたらもっと良い結果を残せたかもしれないが、ツノダはスパで本当に素晴らしいレースをした」
「ダニエルはスプリントでポイント獲得にそう遠くなかった。この方向性は合っている」
両者共々という可能性は極めて乏しいものの、うち1人が今季末で解雇される可能性はゼロではない。この場合に後任として有力視されるのはジュニアドライバーだ。
マルコは「我々には選択肢がある。例えばローソンはランキング2位と、非常に良い成績を収めており、日本でレース開始以降、あらゆる面で飛躍的な成長を遂げている」と主張する。
かつて2017年にピエール・ガスリーが辿ったように、リアム・ローソンはTEAM MUGENからスーパーフォーミュラに参戦し、鈴鹿での最終2戦を残して宮田莉朋と8点差でチャンピオンシップを争っている。