2014年から2018年までのメルセデス製F1パワーユニット
Courtesy Of Daimler AG

”5基目ハミルトン”で表面化したPU交換ペナの問題点「毎戦パワーを向上」批判的なフェルスタッペンとアロンソ

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アルピーヌのフェルナンド・アロンソは、現行のエンジン交換ペナルティは理にかなっていないとするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と同意見で、規定数を超えた場合は一律で最後尾降格にすべきと主張した。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)はサンパウロGPで今季5基目のICE(内燃エンジン)を開封して降格を受けたものの、逆にフレッシュエンジンの優位性を手にして逆転優勝を飾った。5グリッド降格は殆ど何の障害にもならなかった。

フェルスタッペンは「理論的に言えば、メルセデスはグランプリ毎に新しいエンジンを投入することで、5グリッドペナルティを受けてパワーブーストの恩恵を受ける事ができる」と述べ、現行ルールは「非論理的」だと批判した。

2度のF1王者もまた、現行規制を問題視している。スペインのASによるとアロンソは「年間のエンジン使用数が一定数を超えた者は最後尾に回されるべきだ」と語った。

一体ハミルトンは、ブラジルでどの程度のゲインを得ていたのか?レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは15kW(約20.4馬力)と推計する。

本来であればレッドブル・ホンダも同様の手法を取りたいところだが、マルコによると新しいホンダエンジンの投入により期待できるパワーの向上は3~5kW(約4.1~6.8馬力)程度と、メルセデスには遠く及ばないという。

ペナルティによる降格数は2段階に分かれている。年間割り当て基数を最初に超えた時には10グリッド降格となるが、以降は5グリッドへと減少する。例えばICEは年間3基までに制限されており、4基目を投入すると10グリッドが科されるが、5基目以上の投入の場合は5グリッドと半分の降格数で済む。

5-10の段階制による罰則はホンダがF1に復帰する以前のハイブリッド初年度から続くものだが、パワーユニット交換ペナルティは時代の状況に応じて少しずつ変化してきた。

2014年のV6ハイブリッド初年度は年間上限基数が5基に設定されていた。違反は僅か6件で、それもルノーのみだったが、4基に引き下げられた2年目は37件に増大した。

参戦初年度のホンダの信頼性は思わず目をそむけたくなる程に低く、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは12基ものコンポーネントを投じた。2015年のベルギーGPでは両者に対して計105グリッド降格という途方もないペナルティが科された事もあった。

全21戦がカレンダーに並んだ2016年は5基制へと戻った事もありペナルティは減少したが、再び4基に引き下げられた2017年は増加に転じた。2018年はICE、ターボ、MGU-Hが3基、MGU-K、ES(バッテリー)、CE(コントロール・エレクトロニクス)が2基となり、更に制限が強化された。

導入から8シーズン目を迎えたF1パワーユニットは熟成の時を迎え、初期に懸念されていた信頼性不足による降格乱舞は過去の話となった。アロンソとフェルスタッペンは来シーズンに向け、時代にそぐわなくなった現行ルールの改定を望んでいる。