セルジオ・ペレスの11号車レッドブルRB18のエンジンカバーに復活したホンダのロゴ、2022年10月7日F1日本GP FP1
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ホンダF1、複数チームからの接触認めるもF1復帰明言せず…成功の立役者 浅木氏退職へ

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英「The Race」によると株式会社ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治代表取締役社長は20日、2026年以降のパワーユニット・サプライヤーとして国際自動車連盟(FIA)に登録して以来、「複数のF1チーム」から接触があったと明かした。

2021年末の撤退を経てホンダは現在もHRCを通してレッドブル及びアルファタウリにF1パワーユニット(PU)を供給しており、この関係は2025年末まで継続されるものの、レッドブルは先日、フォードと提携して2026年以降に自社製PUを搭載する事を決定した。

米国ニューヨークで行われたレッドブル・パワートレインズとフォードとの提携発表、2023年2月3日copyright Red Bull Racing

米国ニューヨークで行われたレッドブル・パワートレインズとフォードとの提携発表、2023年2月3日

故にホンダが2026年のF1復帰を果たすためには事実上、新たなチームとのパートナーシップが必要とみられるが、残された選択肢は多くなく、現実的にはマクラーレンとウィリアムズの2択といった状況だ。

「複数のチーム」については明らかにされていないが、このオフシーズン中にマクラーレンとホンダとの間で最初の話し合いが行われたと報じられており、2015年から2017年にかけて悪夢を見た両者の再タッグ実現に向けた期待が高まっている。

マクラーレン・ホンダの2015年型F1マシン「MP4-30」とフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトン、2015年2月10日Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

マクラーレン・ホンダの2015年型F1マシン「MP4-30」とフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトン、2015年2月10日

地球環境保全の世界的時流と新たな自動車メーカーの誘致目的を背景に、F1は2026年に次世代PUレギュレーションを導入する事を決定した。

1.6リッターのICE(内燃エンジン)は継続されるものの、ハイブリッドシステムによる出力は現行の3倍となる350kW(約476馬力)へと引き上げられる。また、100%持続可能な燃料が導入される。

全社的にカーボンニュートラルの実現を目指すホンダにとって、今のF1が目指す方向性は自分たちが掲げる「目標に合致する」と渡辺社長は強調する。

ただ、F1への参戦について渡辺社長は「技術開発の助けになる」とする一方、「具体的な決定」を何も下しておらず、F1が向かう先を注意深く見守りたいとしており、依然として2026年のF1参戦について明言していない。2026年のFIA登録は現時点で拘束力を持たない。

また、F1パワーユニット開発を指揮してきた現HRCの浅木泰昭四輪開発部長が今年4月末を以て定年退職する事が明らかにされた。先進パワーユニット・エネルギー研究所センター長でHRC 4輪レース開発部部長の武石伊久雄氏が引き継ぐという。

浅木氏がホンダF1拠点、HRD Sakuraの研究開発全体を統括するようになった2018年以降、PUは目覚ましい発展を遂げ、ホンダは撤退最終年に悲願の世界タイトルを獲得。有終の美を飾った。

浅木氏の貢献は計り知れない。特に、2022年用に開発が進められていた新骨格パワーユニットの1年前倒し投入が実現したのは浅木氏に依るところが大きく、これなくしてマックス・フェルスタッペン及びレッドブルとのチャンピオンシップ制覇はなし得なかっただろう。

仮にホンダがF1に復帰するとなれば、浅木の退職はプロジェクトにとって大きな不安材料となるかもしれない。