F1初の試み…ハースとシカゴ大学医学部が異例の長期研究に着手。負荷実態解明へ

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TGRハースF1チームは2026年4月22日(水)、世界有数の学術医療機関であるシカゴ大学医学部(UCM)と長期共同研究プロジェクトを開始すると発表した。シーズンを通じてチームメンバーにかかる身体的・認知的負荷の解明を目的とするもので、モータースポーツ界でも類を見ない試みとなる。

対象となるのはステアリングを握るドライバーだけではない。メカニックやエンジニアに加え、マーケティング、広報、IT、ホスピタリティスタッフを含む、世界各国を転戦する全チームメンバーが調査対象となる。

F1初の長期研究、学術的定量化へ

発表によれば、本プロジェクトは世界トップクラスの大学と連携して実施されるF1業界初の本格的な長期研究だ。研究者らはシーズンを通した累積的な影響を解明し、睡眠、疲労、ストレス、チームダイナミクスといった要因を検証する。

その目的は明確だ。これらの要因を緩和するための戦略を導き出し、長期的な健康、キャリアの持続性、そして持続可能なチームパフォーマンスを支えることにある。

データ収集はウェアラブル機器、インタビュー、質問票を通じて行われ、UCMの研究チームが分析を担当する。現代F1の過酷さが、学術的アプローチによって初めて定量化されることになる。

中東情勢の悪化に伴い、2026年シーズンは2戦が中止となったが、それでも22戦が予定されており、加えて新たな技術規則の導入によりマシン開発にかかる負荷も増大している。

小松代表「最高の状態で働ける環境をどう作るか」

チーム代表を務める小松礼雄は、本提携の発表に際して次のように述べた。

「F1は、ドライバーだけでなく、この競技に関わるすべての人にとって非常に過酷な環境です」

「チームとして我々は、そうした負荷が人員にどのような影響を与えるのかをより深く理解し、コースの内外を問わず、最高の状態で働ける環境をどう作るかを常に模索しています」

チームのリード・パフォーマンスコーチを務めるダン・マーティンは、現代F1の過酷さをより具体的に描写する。

「現在のF1スケジュールは、マシン製造、プレシーズンテスト、20戦を超えるグランプリレースという点で、身体的にも精神的にも非常に厳しいものになっている」

「レースチームのメンバーには、移動量の多さ、時差ぼけなどの身体的な負荷だけでなく、家庭を長く離れることによる社会的な負担もある。UCMのチームとともに、こうしたストレス要因をより詳しく分析して定量化し、健康とウェルビーイング、キャリアの持続性、チーム全体のパフォーマンスという三つの側面を支える解決策を開発していきたい」

パフォーマンスコーチ兼チーム理学療法士のフェイス・アタック=マーティンは、現場で日常的に目にする現実に言及した。

「学際的なスポーツサイエンスチームの一員である理学療法士として、私はこの環境における疲労と負荷に関連する身体的な怪我の日常的な頻度を目にしている」

「健康、キャリアの持続性、持続可能なチームパフォーマンスを支える実践的かつ根拠に基づいた戦略を開発することは、最終的に実践の改善、より大きな影響、そしてチーム全体の健康上の恩恵につながるはずだ」

「人間エンジン」を解明する学術的挑戦

UCM側は、本研究の射程がF1にとどまらないと強調する。UCMの最高マーケティング責任者を務めるアンドリュー・チャン氏は次のように語った。

「モータースポーツ界最高峰のチームの一つに我々の研究を適用することで、人間というエンジンそのものを、そして人々が最高の状態で力を発揮するために何が役立つのかを、より深く理解できる。この研究から得られる知見は、モータースポーツの枠を大きく超えたチーム環境にも応用できる可能性がある」

本研究の主任研究者を務めるのは、シカゴ大学プリツカー医学部の医学教授兼医学教育担当学部長を務めるヴィニート・アローラ氏だ。同氏は研究の問題意識を次のように説明する。

「シーズンを通じて、チームメンバーは絶え間ない国際移動、睡眠サイクルの乱れ、そして持続的な認知的・身体的な要求に直面している」

「我々の目標は、これらの要因が時間とともにどう相互作用するのかを正確に理解することだ。個々人がどう感じているかではなく、データが何を物語っているかを掴むこと。そしてパフォーマンス、回復、ウェルビーイングを支える的を絞った介入策を開発することにある」

アローラ氏は、本研究の意義はF1以外の領域にまで及ぶと示唆した。

「ここで得られる知見は、負荷が止むことのないあらゆる環境において人々を支える方法を再構築する可能性を秘めている」

調査結果は、研究完了時点で公表される予定だ。