ドライバーの意見聞かずにDRSを短縮、追い抜きも「バクー・シンドローム」もなく…FIAの決定に非難相次ぐ
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F1ドライバー達の間では、前走車両に対する追随性は2023年型F1マシンの登場により悪化しており、DRSゾーンを短縮するという国際自動車連盟(FIA)の決断は誤っていたとの考えが支配的なようだ。
新世代グランドエフェクトカーが導入された2022年のデータを元に、FIAは2023年シーズンの開幕に先立ち、序盤5戦に関してDRSゾーンを見直す方針を発表した。
第4戦アゼルバイジャンGPでは、メインストレートに設置された第二DRSゾーンが100m短縮された。これはドラッグ低減システムの使用距離が短くなる事を意味する。つまり、オーバーテイクのためのハードルを上げるための施策だ。
バクー市街地コースはオーバーテイクの豊富さに加えて、赤旗やチームメイト同士の接触、多発するリタイヤ、驚きの登壇者など、例年多くのドラマを提供してきた舞台だ。
だが今年は主催者が「バクー・シンドローム」と呼ぶこういったスペクタクルは見られず、1周目の小競り合いとニック・デ・フリース(アルファタウリ)のストップに伴う序盤のセーフティーカーを除き、レースの8割型は単調な展開となった。
レースウィナーのセルジオ・ペレス(レッドブル)は、今季のグランドエフェクトカーの後方乱気流は昨年より増えているように感じるとして、前走車を追いかけるのに誰もが「奮闘」している状況でのDRSゾーンの短縮は「適切な判断ではなかった」として、見直しが必要だと主張した。
ポーパシングとバウンシングによるドライバーの健康被害を防ぐべく、2023年のテクニカル・レギュレーションはフロア周りの改定を含む幾つかの調整が行われた。
追随性が悪化したと考えているのはケビン・マグヌッセン(ハース)やジョージ・ラッセル(メルセデス)も同じだ。
マグヌッセンは「ルール変更によって、今年のクルマはフォローしにくくなっているわけだから、短くするのは間違いなくナンセンスだった」として、場合によっては逆に、アクティベーション地点を前方に移動してDRSが使える距離を増やすべきだったとの考えを示した。ローガン・サージェント(ウィリアムズ)もまた、延長すべきと訴えた。
そもそもドライバー達は、今回の決定以前から短縮に対して否定的な意見を持っていたようだ。
ランド・ノリス(マクラーレン)によれば、DRSゾーンの短縮についてドライバーズ・ブリーフィングでは「全ドライバーが疑問を呈していた」という。ラッセルは「ドライバーの意見が全く反映されていない」と述べ、失望をあらわにした。
追い抜き性が悪化しているとの見解についてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、現行マシンの特性の一つ、足回りの硬さに触れて、以前のように様々な走行ラインを走る事ができなくなったのもオーバーテイクが「本当に、本当に難しくなった」原因の一つだと指摘した。