フェラーリF1、マッティア・ビノットの早期移籍を阻止
Published: Updated:
エンジニアリングを含む重要情報の流出によってライバルチームが利益を得る事を防ぐべくスクーデリア・フェラーリは、元チーム代表のマッティア・ビノットの早期移籍を阻止する手段を講じたようだ。
2019年シーズンよりゲスティオーネ・スポルティーバ部門を統括してきた53歳のF1エンジニアはチャンピオンシップ争いでレッドブルに敗れた2022年シーズンを経て、12月31日を以てマラネロを去った。
2月14日にワールドプレミアが予定される2023年型F1マシンのローンチイベントに向けて後任のフレデリック・バスールは1月9日よりマラネロでの職務を開始したが、ビノットの移籍先はまだ明らかになっていない。
イタリア国内の報道によれば、跳ね馬の元指揮官が再びF1での仕事に取り組むためには少なくとも2024年まで待つ必要があるようだ。
伝えられるところによるとフェラーリは、報酬を上乗せする事でガーデニング休暇を6ヶ月から12ヶ月に延長した。
ガーデニング休暇とは退職や雇用契約の終了によって離職する従業員に対し、一定の給与を保証した上で強制的に取らせる長期休暇の事を指す。主に技術流出を防ぐ目的で使われる。
ビノットはキャリアの全てをフェラーリに捧げてきた高名なエンジン・エンジニアというだけでなく、チーム代表としての経験をも併せ持つ極めて貴重な人材であり、ライバルチームから引く手数多となるのは明らかだった。
1995年にスクーデリアに入社したビノットは2004年にレースエンジン・エンジニア、2007年にチーフエンジニアに抜擢され、2009年にエンジン部門とKERS部門のトップに就任。2013年からはエンジン及びエレクトロニクス部門の副代表として1.6リッターV6パワーユニット開発を主導した。
そしてメルセデスに移籍したジェームズ・アリソンの後任として2016年にフェラーリF1チームの最高技術責任者に就任。翌17年と18年のパフォーマンス向上に大きな役割を果たし、2019年にチーム代表の座に上り詰めた。
ビノットの新天地は何処になるのだろうか?
エンジン部門を含むスクーデリアの技術部門を率いてきたビノットの経験は、レッドブルやアウディといった新興F1パワーユニットサプライヤーにとっては特に魅力的だろう。
また、ロス・ブラウンの退職によってマネジメントチームに空きが出たリバティ・メディア率いるF1にとっても採用意欲を掻き立てる人材と言える。