Published: Updated:
1982年以来となるラスベガスでのF1グランプリは、ドライバーやエンジニアに特有の課題を突きつける一方、その異例のタイムスケジュールから日本GPとの意外な共通点がある。
何より注目されるのは気温の低さだ。73年に渡るF1の歴史の中で最も寒いレースは僅か5℃という極寒で行われた1978年カナダGPだが、今週末のシーズン第22戦では新たな記録が打ち立てられる可能性もある。
メルセデスのスポーティング・ディレクターを務めるロン・メドウスは「4~5℃というのはF1ではかなり異例だ。日中は15~18℃で、夜はかなりの寒さになるだろう」と述べ、トラックサイド・パフォーマンス部門を率いるリカルド・ムスコーニは「ベガスで何より重要なのは、気温の低さとタイヤだ」と指摘する。
「この問題には2つの要素がある。我々はナイトレースを予定しているが、この時期の気温は1桁台になるだろう。2つ目は路面が新しいという点で、現時点ではその攻撃性について正確に分かっていない。実際にベガスに行ってドライブするまで誰もにも分からないだろう。これが週末の鍵を握ると思う」
異例のコンディションが予想されるとは言え、チームの事前準備に特殊な点はない。
ムスコーニは「新しいコースでの週末に向けたいつも通りの手順に従って準備をする。事前の情報収集が重要だ。最終的にはターマックや路面の写真を入手してシミュレーションに反映させ、これを元にしてセットアップを最適化する」と説明する。
「新しいコースに向けてどのような準備をするのか? まずはレーシングラインを知ることがすごく重要だ」
「コースのレイアウト、コーナーの数、コーナーの向きなど、左タイヤに負担がかかるのか、右タイヤに負担がかかるのかを確認する。加えてストレートの長さを知る必要がある」
「そして最適な空力コンフィギュレーションを探る。ベガスはかなりの高速コースだから、ウイングレベルはスパやモンツァと同等になるだろう」
「誤った期待を抱かないために、可能であればライバルと違う時間帯にコースを周回しないようにする事も大切だ」
特有という点では、例えばメルセデスはかつて経験した事のない3,500人を超える規模のゲストを迎え入れる予定で、200名体制のチームを組織し、パドック外、ターン4脇に別途、3階建てのホスピタリティ・エリアを設ける。まさに前代未聞だ。
また多くの場合、スタッフやドライバーは宿泊先からクルマでパドックに移動するが、ラスベガスでは30分ほどをかけて徒歩で移動する事になるようだ。
ナイトレースである事に加え、気温も著しく低く、ラスベガス市街地コースは鈴鹿とは異なり高速コーナーが殆どないが、日本GPとの意外な共通点もある。
ムスコーニは「ラスベガスの週末のもう一つの課題はタイムゾーンだ」と語る。
「鈴鹿のスケジュールに近い時間帯、つまり日本のタイムゾーンで仕事をすることになる。ブラックリーのレースサポートルームにいるメンバーも同じような経験をする事になるだろう。つまり午後2時に出勤するということだ」
ラスベガスGPの全てのセッションは現地20時30分以降に行われる。FP2と予選の開始時刻は日付が変わる24時ジャストで、レースは22時より開始される。
そのため、17時間の時差がある日本では全てのセッションが日中、午後に行われる事になる。