
F1圧縮比騒動が決着へ、2026年途中での規則変更をめぐり投票を実施。FIAが新検査手順を提案
2026年シーズンの新型F1パワーユニット(PU)を巡る最大の懸念事項とされてきた「圧縮比問題」が、決着に向けて動き出した。国際自動車連盟(FIA)は各PUメーカーに対し、8月1日から新たな検査手順を追加導入することを提案した。
現行レギュレーションにおいて、圧縮比の検査は常温環境下で実施すると定められている。一方でメルセデス製PUについては、常温検査では基準を満たしながらも、実際の高温稼働時にはより高い圧縮比を実現しているのではないかとの疑念が他メーカーから示されていた。
FIA、130℃での追加検査を提案
FIAは過去数カ月にわたり、PUメーカーと共同で常温測定値を基に稼働条件下での圧縮比を数値化する手法を検討してきた。今回の提案では、2026年8月1日以降、従来の常温検査に加え、代表的な稼働温度とされる「130℃」の状態でも圧縮比制限を遵守していることを証明する義務が課される。
この変更案が正式に導入されるには、パワーユニット諮問委員会(PUAC)で特別多数の支持を得る必要がある。具体的には、5社のPUメーカーのうち4社に加え、FIAおよびFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の賛成票が必要となる。
現在、メルセデスを除く4社(ホンダ、フェラーリ、アウディ、レッドブル・フォード)は検査の厳格化を求めているとされる。FIAとFOMがこれに同調すれば可決される見通しだ。今回の提案が提出されたこと自体、FIAが本件を重要事項と認識していることの表れとみられるだけに、規則変更は一層、現実味を帯びつつある。
電子投票の結果についてFIAは「今後10日以内に判明する見込み」としている。一方、ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ヴァウルズは「おそらく今後48時間以内に解決するだろう」との見通しを示している。
求めているのは「抗議」ではなく「明確化」
規則変更支持派とされるレッドブルのローラン・メキーズ代表やフェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、圧縮比問題において重要なのは特定チームに抗議することではなく、あくまでルールの明確化であるとの立場を強調している。
メキーズは「ルールがどの方向に進もうと構わない。我々が求めているのは、何が許され、何が許されないのかという絶対的な明確さだ」と語り、バスールも「我々は抗議をするためにここにいるのではない。全員が同じ理解の下で戦える明確なレギュレーションが必要だ」と述べた。
今回の提案が可決された場合でも、メルセデス製PUを搭載する陣営はシーズン開幕から7月末、すなわち第13戦ハンガリーGPまでは現行仕様での運用が認められる。一方で、8月以降の新検査に対応するためにPUの改修が必要となるのかなど、その後の対応や影響については依然として不透明な状況だ。