
F1圧縮比論争が決着、”全会一致”で6戦前倒しの「常温+130℃両条件測定」が正式承認
2026年の新たなパワーユニット(PU)規定を巡る技術論争に終止符が打たれた。国際自動車連盟(FIA)は2月28日、PU各メーカーとの全会一致の合意に基づき、エンジンの圧縮比に関する測定規定を改定し、施行時期を前倒しすると発表した。
既報の通り、130℃という温間での新たな測定検査は、当初の国際自動車連盟(FIA)案より6戦前倒しとなる6月1日から施行される。さらに2027年以降は冷間での測定検査が廃止され、温間検査へ一本化される。
焦点となったのは、2026年規定で上限16.0対1と定められた圧縮比の計測条件だ。圧縮比とは、ピストンが最下点と最上点にある際のシリンダー容積の比率を指す。2026年規則では、新規PUメーカーの参入を促す目的で、従来の18対1から16対1へと引き下げられた。
測定は冷間(常温)環境下で行うと規定されていた。だが、メルセデスはこの解釈の余地を突き、エンジンが高温で作動する際にのみ圧縮比を高める設計を採用したとされる。この挙動は単純な金属膨張だけでは説明できず、3Dプリント技術を用いた多層構造部品など、複雑な内部設計が関係している可能性が指摘された。
アウディを中心に、フェラーリとホンダが連名でFIAに書簡を送り、優位性の排除を試みた。C5.4.3条は常温測定を明記する一方、1.5条は「競技中の如何なる時点でも本規則のすべてに適合しなければならない」と定めており、双方に一定の理があった。
この問題への対応としてFIAは、温間状態での測定検査を8月1日から追加導入する案を提示した。だが、この案は撤回され、妥協案がパワーユニット諮問委員会(PUAC)の投票に付された。最終的に施行日は2026年6月1日へ前倒しされ、2027年以降は温間検査に一本化することで全会一致の合意に至った。
さらに、圧縮比の扱いを巡る抜け道的な設計も明確に禁止された。改訂規則には次のように明記される。
「作動条件下で圧縮比を16.0を超えて引き上げる目的、またはその機能を有するあらゆる部品、アセンブリ、機構、もしくは統合構造は禁止する」