メルセデスAMGペトロナスF1チームのジョージ・ラッセルは2022年型F1マシン「W13」について、「快適とは言えない」として解決すべき問題がある事を認め「ライバルたちに一歩遅れているように見える」と語った。

3月12日(土)に行われた2022年のプレシーズンテスト最終日、メルセデスは午前を担当したルイス・ハミルトンが78周、午後にステアリングを握ったジョージ・ラッセルが71周を走破。バーレーンテストとしてはチーム最多の149周を走り込んだ。

レッドブルとフェラーリが印象的なタイムと安定した挙動を見せた一方、メルセデスW13は変わらずポーパシングに見舞われ、ドライバー達のステアリング操作は慌ただしく、ハミルトンは17番手、ラッセルは4番手でプレシーズンを締め括った。

最終テストを振り返ったラッセルは「決して快適とは言えない」「ライバルたちに一歩遅れているように見える」として、1週間後に控える開幕バーレーンGPに向けて「やるべき事が山積みだ」と語った。

またハミルトンも「今のところ僕らが最速ではないことは誰もが理解できるはずだ」と強調したが、実際、アルファタウリのピエール・ガスリーは、3日目のハミルトンとの接近戦を通して「メルセデスは以前ほど良くはないと思う」と結論付けている。

ただ、現時点で最速でないという事は必ずしもコンストラクター9連覇の目標達成が絶望的だという事を意味するわけではない。ハミルトンは現時点でのメルセデス最速説を繰り返し否定しているが、同時にW13には優勝争いに足るだけの隠れたポテンシャルがあるとも認めている。

ポテンシャルがありながらもそれを引き出せていないのは何故なのか？ ラッセルは「バウンシングの影響でクルマを正しいウインドウに入れる事ができない」と説明する。

「クルマの性能を余すところなく引き出してプッシュしようとすると、バウンシングが酷くなるんだ」

エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「バウンシング問題を更に改善し、クルマをもっと落ち着かせることができれば、まだまだペースは上がるはずだ」と説明した。

チームはこの日、グランドエフェクトカー特有のこの激しいピッチングを解決すべく、様々なセットアップ構成を試した。ショブリンは「セットアップという点では正しい方向に一歩前進したように思える」と語った。

バーレーン・インターナショナル・サーキットはカレンダーの中で最も路面がラフなコースの一つであり、車高変化を伴うバンプがポーパシングを誘発している。

素性は良い。またブラックリーやブリックスワースの努力の成果もあり、信頼性という面ではシャシーもパワーユニットも問題なく走っている。つまりポーパシングさえ克服できれば優勝を争えるだけの速さを引き出せるという事のようだが、ハミルトンは決して楽観視しているわけではない。それは根本的な解決に時間が掛かりそうだと踏んでいるからだ。

ハミルトンは「1週間でどうにかなる問題じゃなくてもう少し時間がかかると思う」と述べ、問題がクルマの基本的なエリアに関連して発生している可能性を仄めかした。

3月18日開幕のバーレーンGPまでの時間は限られている。メルセデスは後5日でどこまで問題を解決できるだろうか。