ニュル24時間2026:フェルスタッペン組、“悪夢の警報”で初挑戦勝利を逃す。姉妹車80号車が制覇

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第54回ニュルブルクリンク24時間レースは5月17日(日)の現地時間15時にチェッカーフラッグを迎え、80号車メルセデスAMG GT3が総合優勝を飾った。ステアリングを共有したのはマロ・エンゲル、ルカ・シュトルツ、ファビアン・シラー、マキシム・マルタンの4名。メルセデスにとっては、10年ぶりとなるニュル24時間制覇となった。

一方、レースの終盤まで主役の座にいたのは、その姉妹車であるフェルスタッペン・レーシングの3号車だった。4度のF1王者マックス・フェルスタッペンが日曜未明、ノルドシュライフェでの初の夜間スティントでエンゲルをオーバーテイクし、姉妹車との1-2体制を築いていた。

だが、レース終了まで3時間半を残した段階でドライブシャフトが破損。フェルスタッペンのニュル24時間デビュー戦は、勝利をつかみかけながらもトラブルに屈する形で幕を閉じた。

闇夜の首位奪取とABS警報

タイヤ交換作業を受けるフェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスAMG-GT3、2026年5月17日(日)-第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)Courtesy Of 24h Nürburgring

タイヤ交換作業を受けるフェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスAMG-GT3、2026年5月17日(日)-第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)

3号車が80号車との1-2体制を築いたのは、日曜日に日付が変わってから間もない頃のことだった。当時ステアリングを握っていたフェルスタッペンが、エンゲル駆る80号車を攻略して首位に立ち、そこからギャップを広げた。

ところがレース終了まで3時間半を切ると、ピットストップを経てコースに復帰した直後の3号車にABS警報が作動した。ステアリングを握っていたのは、フェルスタッペンから引き継いだダニエル・ジュンカデッラだった。

チームは当初、電気系統のトラブルと判断したが、メルセデスAMGのマネージャーを務めるステファン・ヴェンドルによれば、その後ノイズと振動が増大。ジュンカデッラはスティント3周目に走行継続を諦め、スロー走行でピットへ戻った。

その後の検査により、ドライブシャフトが破損していたことが判明。さらに、リアアクスル周辺の他のコンポーネントにも付随的な損傷が広がっていた。フェルスタッペンのニュル初挑戦優勝の望みが絶たれた瞬間だった。

それでもチームは修復に踏み切り、3号車をレース最終盤に再びコースへ送り出す決断を下した。最後にジュンカデッラがステアリングを握った3号車は、首位から21周遅れの38位でフィニッシュを迎えた。

観客で埋まったノルドシュライフェを駆け抜けるフェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスAMG-GT3、2026年5月16日(土) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)Courtesy Of 24h Nürburgring

観客で埋まったノルドシュライフェを駆け抜けるフェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスAMG-GT3、2026年5月16日(土) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)

80号車が10年ぶりメルセデス制覇

3号車のトラブルにより首位を引き継いだのは、姉妹車の80号車だった。エンゲル、シュトルツ、シラー、マルタンの4名は、25番グリッドからの粘り強い追い上げで上位まで戻ってきていた。

レース終盤、80号車は3号車の後方で待機モードに入っていた。メルセデスとしての優勝を確実なものとするため、姉妹車との順位を保ったまま走行せよと指示されていたのだ。3号車のトラブルにより、その指示は解除され、80号車はリードを引き継いだ。

最終的に80号車は2位に46秒311の差をつけてチェッカーを受けた。最後にステアリングを握っていたのは、レース序盤にフェルスタッペンと首位を争ったエンゲルだった。

ポールの84号車、逆境抱えて2位

曇天のニュルブルクリンクGPコースで激しいポジション争いを繰り広げるGT3マシン、2026年5月16日(土)-第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)Courtesy Of 24h Nürburgring

曇天のニュルブルクリンクGPコースで激しいポジション争いを繰り広げるGT3マシン、2026年5月16日(土)-第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)

2位はレッドブル・チーム・アプトの84号車ランボルギーニ・ウラカン。ポールポジションからローリングスタートで先頭に立ったミルコ・ボルトロッティは、レース全体を通じて他を圧倒するペースを見せ、ファステストラップとなる8分08秒758を記録した。

そのペースをもってしても優勝に届かなかった背景には、2つの逆境があった。1つは、ジュンカデッラがドライブしていた3号車との接触によるパンクだ。

もう1つは、コード60違反(時速60km制限の徐行区間における違反)による86秒のタイムペナルティだった。これらの逆境を圧倒的なペースで部分的に挽回したものの、80号車の前に出ることはできずに終わった。

3位はワーケンホルストの34号車アストンマーティン・ヴァンテージ。4位はローヴェ・レーシングの99号車BMW M4。そして5位には、現時点で一回限りのスポット参戦となるBMW M3ツーリング24hが滑り込む形となった。

優勝候補が次々脱落した消耗戦

今年のニュルブルクリンク24時間は、フェルスタッペン陣営以外にも有力候補が次々と脱落する消耗戦の様相を呈した。

5番グリッドからスタートしたREALIZE KONDO RACING with Rinaldiの45号車フェラーリ296 GT3はレース序盤、ポルシェ・ケイマンGT4をかわそうとした際にバリアに突き刺さり、レースを終えた。

スタート直後に首位に立った130号車ランボルギーニ・ウラカンは、ジャンプスタートで32秒のタイムペナルティを科された。また、マンタイ・レーシングの伝統カラー「グレロ」をまとったポルシェのケビン・エストレは、コース上のオイルに乗って後ろ向きにバリアへクラッシュし、レース継続不能となった。

ほぼ同じタイミングで、64号車フォード・マスタングのアルジュン・マイニも同じオイル痕に滑ってクラッシュし、レースを終えた。

ディフェンディング・ウィナーである1号車BMW M4も、繰り返し発生する燃料系トラブルにより、最終的にレース継続不能となった。

トヨタGRヤリスを襲った数々の試練

109号車GRヤリスをフェンス越しに見守るTOYOTA GAZOO ROOKIE Racingのチームメンバーとファン、2026年5月17日(日) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)Courtesy Of TOYOTA MOTOR CORPORATION

109号車GRヤリスをフェンス越しに見守るTOYOTA GAZOO ROOKIE Racingのチームメンバーとファン、2026年5月17日(日) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)

TOYOTA GAZOO ROOKIE Racing(TGRR)は、昨年に続きGRヤリスで参戦するも、数々のトラブルに見舞われた。77周を走破したものの、競技上の完走条件には届かず、公式結果はDNCとなった。

昨年の完走車両をベースに、パワートレイン、空力、ワイドトレッド化など攻めた改良を実施。109号車GRヤリスは、3月のNLS第2戦では昨年仕様比で約10秒のラップ短縮を達成し、予選では総合96位、クラス1位で決勝に進んだ。

決勝は強豪車両が次々と脱落する荒れた展開となったが、109号車は序盤、フロントウィンドウのヒビ以外は大きな問題なく周回。石浦宏明、モリゾウ、豊田大輔が安定した走りを見せた。だが大嶋和也の担当以降、ワイパー不具合、スピードリミッターボタン不良、パンクなどが相次いだ。

さらに夜明け前、大嶋が車両の振動を訴えてピットイン。原因特定が難航する中、関谷利之GMは「成瀬さんだったらどうするか」と考え、停滞を避けるためエンジン・駆動系の全交換を決断した。モリゾウも「急がず、確実に、安全に」とチームを後押しした。

限られた環境の中、メカニックは約3時間で載せ替えを完了し、トラブル発生から約7時間後にコースへ復帰。最終スティントはモリゾウが担当し、ドライとウエットが混在する難しい路面を佐々木の先導で走り切った。

モリゾウは「思い通りにいかない、この悔しさこそがニュル」と振り返り、トラブルを克服して復活することに挑戦の意味があると強調。関谷GMは、性能向上によって従来見えなかった課題が顕在化した一方、事前準備で防げた事象もあったと認めた。久富エンジニアリーダーも「悔しくて泣きたいくらい」と語り、リベンジを誓った。

スバル、2度目のSP4Tクラス優勝

チェッカーフラッグ後にSP4Tクラス優勝を祝福されるSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2026のWRX S4、2026年5月17日(日) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)Courtesy Of SUBARU

チェッカーフラッグ後にSP4Tクラス優勝を祝福されるSUBARU WRX NBR CHALLENGE 2026のWRX S4、2026年5月17日(日) 第54回ニュルブルクリンク24時間レース(ノルドシュライフェ)

スバルのモータースポーツ部門STIは、WRX S4をベースとする「SUBARU WRX NBR CHALLENGE 2026」で参戦し、2024年以来2度目となるSP4Tクラス優勝を果たした。

カルロ・ヴァン・ダム、佐々木孝太、井口卓人、久保凜太郎の4名がドライブした同車は、予選を総合68位、クラス2位で通過。決勝では序盤に同クラスのポールシッターを逆転し、その後もリードを拡大。159台が出走する混戦の中で上位クラス車両とも競り合いながら総合順位を上げ、レース2日目には総合31位でチェッカーを受けた。