欧州F1グランプリ、ローテーション制は既定路線…計画の一端が明らかに
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世界的な市場拡大に伴いヨーロッパの幾つかのグランプリをローテーション制とする計画の下、F1は既に複数のプロモーターとの話し合いを進めており、隔年での相互開催とするレースを2025年までに正式発表する見通しだ。
時代は移り変わった。かつてはヨーロッパを中心にカレンダーが組まれていたが、中東やアメリカ大陸を中心に開催地は世界全体へと広がっている。2023年シーズンを見てもヨーロッパでのレースは9戦と4割に過ぎない。
ロジスティクス、チームスタッフの負担といった制約から、カレンダーそのものの拡大には限度があり、F1のステファノ・ドメニカリCEOは長期的安定性を目指していく上で、2024年を含めて年間24戦を「目標にすべき」と明言している。
そこで問題となるのが、長年に渡ってカレンダーを支えてきた歴史ある欧州の各グランプリの扱いだ。カレンダーのスロット数が限られる一方、新たな開催候補地は増え続けている。
この問題の解決のために浮かび上がったのが、隔年で開催地を入れ替えるローテーション制というアイデアだ。F1カレンダーへの需要が高まる中、このシステムの採用はF1経営陣の中で既定路線となっているようだ。
ドメニカリはポッドキャスト「Beyond the Grid」の中で、「ヨーロッパにおいては、ローテーション原理が適用できるレースがあると考えている」とした上で、どのレースが交互開催になるのかについては「すでに幾つか(のプロモーター)と話し合っており、今後2年で正式発表する予定だ」と付け加えた。
ローテーションの対象となるグランプリについては昨年、ベルギーGPやフランスGPの名が取り沙汰されていたが、スペインGPの開催を巡り争うバルセロナとマドリードも有力候補となり得るだろう。
マドリードでのグランプリ開催の可能性についてドメニカリは、フェルナンド・アロンソとカルロス・サインツという同国出身のドライバーの活躍によりスペイン国内のテレビ視聴率は「信じられないほど順調に伸びている」として、「今後数カ月の間に商業的および実地的議論が行われる予定」だと明かした。
かつてスペインでは2008年から2012年にかけて、バレンシア市街地コースとカタロニア・サーキットで1シーズン中に2回のグランプリレースが行われていたが、ビジネスを取り巻く環境の変化に触れてドメニカリは、再びこの方式を採る可能性を除外し、同じ年に行われるレースは1つのみになるとの見通しを示した。
ヨーロッパにはベルギーの他にもモンツァやモナコ、シルバーストンといったF1史を築き上げてきた伝統的なグランプリが存在するが、継続開催の保証は何処にもなく、ローテーションに組み込まれる可能性も、カレンダーから姿を消す可能性もゼロとは言えない。
「歴史的なレースは今後もカレンダーの一部であり続けるだろう」としつつもドメニカリは、各開催地が自らの存在意義を打ち出し、変化する市場とファンのニーズに応えられないのであれば「それは、もはや歴史的とは言えないのでは?」と問いかけた。