今のF1タイヤ開発は甘くない…ブリヂストンに警告するアルファタウリとハース
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アルファタウリのフランツ・トスト代表とハースのギュンター・シュタイナー代表は、現行世代のF1タイヤの開発は以前より遥かに困難であるとして、F1復帰に向けて入札したと目されているブリヂストンに警告した。
2025年からの3シーズンに渡る独占タイヤ供給契約に関する入札プロセスは現在、国際自動車連盟(FIA)による技術評価フェーズが終了し、ピレリとブリヂストンの2社がF1を所有するリバティメディアとの商業交渉フェーズに進んだものと見られている。
早いもので2023年も既に半分が終わった。現実的に考えて、ブリヂストンは後20ヶ月ほどの間に準備を終えられるのだろうか? 如何に経験があるとは言え、今のF1は日本のタイヤメーカーにとってあまりにも未知数だ。
ブリヂストンがかつて参戦していた1997~2010年とは異なり、ハイブリッドエンジンを搭載する現行世代のF1マシンの車重は200kg以上も重く、ダウンフォースも大幅に増え、コーナリング中のタイヤに掛かる負荷は格段に増大した。
1996年にチーム・ルマンからフォーミュラ・ニッポンに参戦したラルフ・シューマッハのマネージャーとして、ブリヂストンのF1タイヤ開発を間近で見た経験を持つトストは「まず第一に、ブリヂストンは非常によく知られた会社であり、F1での経験も豊富だが、ここ数年はF1から離れている」と指摘する。
「F1に参戦する事の意味をブリヂストンは理解しているはずだが、仮に日本でまだ何もテストをしていないとしても私は驚かない」
「というのも、10年か15年前にブリヂストンがF1に戻ってきた時、当時私が働いていたチーム・ル・マンがタイヤ開発に携わって、その時にラルフ・シューマッハがタイヤをテストしたんだ。あれは彼らがF1に加わる2年前の事だった」
「だが、もし今の段階で開発に着手していないのであれば、かなり遅いと思う」
「なぜなら、現在のF1に対応するタイヤを開発するのは本当にハードルが高く、安全なタイヤを開発するための適切な方法を見つけることは、そう簡単なことではないからだ」
ハースのギュンター・シュタイナー代表も「フランツが言っている事は完全に正しい」と同意する。
「F1用のタイヤを作るのは簡単ではない。今は良い仕事をしていると思うが、ピレリがF1に参戦した最初の数シーズンは彼らにとって本当に厳しいものであっただろうと思う」
「もちろんブリヂストンが素晴らしい会社である事は疑いないし、レースのことも知っている。それにフランツが言ったように、既に開発を始めているかもしれない。まぁ実際、どうなのか我々には分からないがね」
「だが簡単なことではないだろうし、痛みを伴わないものでもないだろう。経験を積むというのは簡単なものじゃないだろ?」
「だから、もし彼らがやってくるなら、それは困難なものになるだろうと思うが、最終的にはFIAが彼らの技術的な能力について確認する事になる。だから(どちらが選ばれても)タイヤの競争力という観点で我々が後退する事はない」