“電撃的”ではなかったウィートリー離脱、「予兆」を見ていたボルトレート。アストンホンダ移籍が囁かれる男が抱えた事情

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アウディF1のチーム代表ジョナサン・ウィートリーの即時離脱は、パドックに大きな驚きをもって受け止められた。開幕からわずか2戦での離脱というタイミングに加え、将来的な移籍先としてアストンマーティン・ホンダが有力視されていることもあり、その衝撃は小さくなかった。

だが、周囲の喧騒とは異なる温度感を示したのが、ガブリエル・ボルトレートだ。第3戦日本GPのメディアデーでこの件について問われたボルトレートは、「僕としては、これは驚きとは言わない」と語り、チーム関係者のみが知る、内部に漂っていた空気感を明かした。

アウディ側は離脱の理由を「個人的な理由」と説明するにとどめている。だがボルトレートの発言からは、巨大なワークスプロジェクトのリーダーが抱えていた葛藤と、それを周囲が察知していた実態が浮かび上がる。

ボルトレートが見た離脱の予兆

離脱のニュースについて、ボルトレートは鈴鹿サーキットのパドックで「彼は個人的な事情を抱えていて、それを(チーム内部で)公にしていたんだ」と明かした。

「そのせいでプロジェクトに全面的にコミットできなかったんだと思う。個人的なことに対処しなきゃならない場合、それが最優先になるからね」

この「公にしていた事柄」の詳細は明らかにされていないが、パドックではイギリス人であるウィートリーが、チームの本拠地があるスイスから母国イギリスへの帰国を強く望んでいたとの見方が出ている。ただし、その背景は不透明だ。

ウィートリーが”アウディのチーム代表として指揮を取った”のは、開幕戦オーストラリアGPと第2戦中国GPの2戦のみだが、旧ザウバー時代を含めると在任期間は354日に上る。

「確かに期間としては短くてまだ2レースしか経っていないけど、彼は昨年からチームにいたわけで、2レースだけに関わったわけじゃない」とボルトレートは続けた。

ボルトレートはまた、ウィートリーが昨年から進めてきた組織改革を高く評価しつつ、特定の個人に依存しないチーム体制の重要性を強調した。

「彼のおかげでチーム全体の状況が良くなったし、多くの分野で改善が進んだ。彼はチームにポジティブな雰囲気をもたらしてくれたと思う。一方でこのチームが常に目指していることのひとつは、特定の個人に依存するのではなく、チーム一丸となって動くことだ」

ウィートリーの職務は、アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットが暫定的に引き継ぐ。ボルトレートは以前フェラーリでチーム代表を務めていたビノットのリーダーシップに期待を寄せる。

「起きたことは仕方ない。前に進むだけだよ。マッティアが僕らを正しい方向に導いてくれると信じている」

「彼のことは個人的に全面的に信頼しているんだ。僕がF1に来るチャンスをくれた人でもあるからね。彼にはすごく感謝してる。だから、より大きな責任を担うことになる彼が、このチームにもたらすものにもすごく期待している」

ウィートリーの次章、アストン移籍の現実味

ウィートリーの次なる行き先は、アストンマーティン・ホンダと見られている。そこには、レッドブル時代に共に黄金期を築いたエイドリアン・ニューウェイが、マネージング・テクニカルパートナーとして在籍している。

アストンはイギリス・シルバーストンに本拠を置くチームであり、帰国を望んでいたとされるウィートリーの希望とも合致する。スイスでの生活に区切りをつけ、戦友であるニューウェイのもとで再び働くことは、彼にとって魅力的な選択肢である可能性が高い。

アストンがウィートリーを必要としているとみられる背景には、チームが直面する厳しい状況がある。AMR26は激しい振動トラブルに見舞われており、開幕2戦を終えてフェルナンド・アロンソとランス・ストロールは一度もグランプリレースを完走できていない。

技術面の責任者であるニューウェイは、暫定的にチーム代表を兼務している。だが、開発に集中すべき立場である彼にとって、代表業務の兼任は負担となる。ウィートリーの加入は、ニューウェイを本来の役割に専念させるための重要な一手となり得る。

ウィートリーが早期に合流すれば、アストンは運営と技術の二頭体制を整えることができる。ただし、契約上のガーデニング休暇が課される可能性もあり、仮にすでに移籍で合意に至っていたとしても、合流の時期は不透明だ。

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