バクー市街地コースのピットレーンでグリーンフラッグを待つF1マシン、2021年6月5日F1アゼルバイジャンGP予選にて
Courtesy Of Alpine Racing

F1アゼルバイジャンGP タイヤ戦略考:ホンダ4台含む上位勢のストラテジーは一択か

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2021年シーズンの第6戦アゼルバイジャンGP決勝レースが日本時間6月6日(日)21時にブラックアウトを迎える。バクー市街地コースでの51周のレースを制するのは誰なのか? 各車の残存タイヤセット数と最速のタイヤストラテジーを考えてみる。

公式タイヤサプライヤーのピレリは今回、市街地戦専用の最も柔らかいレンジのC3(ハード/白)、C4(ミディアム/黄)、C5(ソフト/赤)のラインナップを持ち込んだ。この組み合わせは前回大会の2019年より1段階柔らかい。

各ドライバーの手持ちタイヤは以下の通り。新品ハードは全車が、新品ミディアムはメルセデスの2台を除く全車が保持している。新品ミディアムを2セット温存しているチームが一つもない事から、誰もがソフトとハード、あるいはハードとミディアムでの戦略を想定している事が伺える。

2021年F1アゼルバイジャンGP決勝残存タイヤセット

ホンダエンジン勢4台を含むQ3進出組は、全車がソフトでQ2を突破した。ミディアムとソフトの1周あたりのタイム差は約0.8秒。トップからミッドフィールドまでが接近していため、トップチームと言えども、ミディアムでQ2を突破できるような状況ではなかったためだ。

ソフトとミディアムの1ストッパーで51周を乗り切る事は難しく、またピットストップには約20秒と少なくないタイムロスがあり、更にはセーフティーカー(SC)導入の可能性が高い事から、ピレリのマリオ・イゾラが予想するように上位10台はソフト(11~15周)からハード(36~40周)に繋ぐ1ストップ戦略の一択となりそうだ。

2021年F1アゼルバイジャンGP決勝タイヤストラテジー

一方、タイヤ選択の自由がある11番手以降のドライバーには様々な選択肢がある。

ソフトは15周程度しか保たないものと見られているが、ミディアムやハードに対する1周あたりのアドバンテージが大きい。早い段階でセーフティーカーが導入されれば強力な武器となり得るため、トップ10圏外組とてソフトを選ぶ理由はある。

逆に、特に路面が50度を超えるような状況となれば、路面が出来上がっておらず燃料が重い状態のスタートタイヤにミディアムやハードを選ぶ利点が大きくなる。

ソフトとは異なり第1スティントを長く引っ張れるため、セーフティーカーや赤旗のタイミングを余裕を持って待ちながら、最適なタイミングでピットストップを行なう事が可能だ。

ただ早期に大きなアクシデントが発生すればソフト勢が有利であり、最終的にはSCの動向が明暗を大きく分ける事になるだろう。

なお前戦モナコよりデグラデーションが大きいため、アンダーカットがトラックポジションを上げるための有効な手段となりうる。

天気予報によると決勝当日のバクーは晴れ時々曇りで、気温は26℃まで上昇する見込みだ。

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