アルファタウリ指揮官「私は問題児が好きだ」と角田裕毅をフォロー。一方で今季限りでの放出除外せず
Published:
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが、無線マナーが悪い角田裕毅を「問題児」と称した事を受け、アルファタウリのフランツ・トスト代表は「私は問題児が好きだ」とフォローした。
また、未だ発表されていない2023年の契約についても触れ、成績次第では放出もあり得ると認めた。角田裕毅とチームとの契約は今シーズン末限りで満了を迎える。
聖人君子は好きじゃない、とトスト
ルーキーイヤーのイモラでの「トラフィックパラダイス」発言に象徴されるように、角田裕毅はしばしば無線で感情を爆発させてきた。
1年間に渡る経験を積んで迎えた2年目の今年は、自らを律するようになり、コース上でも印象的なパフォーマンスを発揮するなど、その成長を感じさせているが、それでも攻撃的な無線が完全になくなったわけではない。
前戦イギリスGPでは、チームメイトのピエール・ガスリーを追い抜きにかかった際に接触。感情をあらわにした。アルファタウリは無得点に終わった。
ファエンツァのチームを率いる66歳の指揮官はF1第11戦オーストリアGPのスプリントを前に「問題児。私は好きだよ。何故なら文句が言える子は悪い子ではないからだ」と述べ、角田裕毅に寄り添った。
「私は聖人君子のような子は好きじゃないんだ。ユーキはミスをした。彼はその事を分かっているし、それに取り組んでいく事だろう。まだ成長過程なんだ」
「彼は速い。今週末、ここでも彼は速かった。彼は自分なりのやり方で物事を進めていくだろう。少し時間が必要なんだ」
ヘルムート・マルコの「問題児」発言は、シルバーストンでの同士討ち経て角田裕毅を形容したものだった。ただ、それは怒りを込めてのものではなく、出来の悪い息子を持て余すように苦笑いを浮かべながらの発言だった。
同士討ち「絶対にやってはダメ」とお灸
角田裕毅自身が「完全に僕のミス」と認めている通り、如何なる理由があれチームメイト同士での接触を正当化する事はできない。ましてやそれによってWポイントの可能性を逃したとなれば尚更だ。
「あれは勿論、チームにとって悪夢だった。なぜならドライバー達は7番手と8番手を走行していたわけだからね」とフランツ・トストはイギリスでの一件を振り返り、お灸を据えた事を明かした。
「シルバーストンでのレースが我々にとって難しくなるであろう事を覚悟していただけに、本当に素晴らしいポジションにいたという事だ」
「ユーキは少し焦りすぎてしまい、ピエールをアウトブレーキングしようとした際にリアを失いぶつかってしまった」
「レース後すぐにユーキをオフィスに呼んで『これは絶対にやってはダメな事だ。もっと自制心を持ち、忍耐強くなければならない』と伝えた」
「チームメイト同士の衝突はこれが初めてではないし、これが最後でもないだろう。願わくばそうであって欲しいとは思うわけだが」
「F1の歴史においてこういう事態はこれまでに何度か目にしてきたわけだが、どんな形であれ、これは避けなければならない事なんだ」
2023年残留は成績次第
チームメイトのガスリーに関しては既に来シーズンのアルファタウリでの続投が発表されているが、角田裕毅の去就は明らかにされていない。
第7戦モナコGPを終えた時点でヘルムート・マルコは、代わりとなり得るジュニアドライバーがいない事を認め、角田裕毅の続投を示唆した。だがフランツ・トストは成績次第だと強調し、今季限りでの放出の可能性を除外しなかった。
フランツ・トストは来季の契約について「クラッシュを除き、今シーズンのこれまでのように彼が続けていけるのであれば、我々と共に留まるチャンスは十分にあると思う」としながらも、最終的には「彼次第だ」と語った。
「良いパフォーマンスを残せば留まるだろうし、残せなければ退場だ。全く以て簡単な話だよ」