ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだった、と豊田章男チームオーナー…ルマン悲願初優勝の7号車に祝福と感謝の言葉
TOYOTA GAZOO Racingチームオーナーにして、トヨタ自動車株式会社の豊田章男代表取締役執行役員社長兼CEOが、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを達成した7号車及び8号車のドライバー達に祝辞と感謝の言葉を送った。
フランスのサルト・サーキットで行われた第89回ル・マン24時間の決勝レースが8月22日にゴールを迎えた。トヨタが投じた2台のGR010 HYBRIDは、1-2フィニッシュという最高の結果でこの歴史的なレースを制した。
チームとしてはル・マン24時間レース4連覇の快挙で、7号車のステアリングを握ったマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名にとっては悲願の初優勝だった。
豊田章男チームオーナーは「可夢偉、マイク、ホセ。やっと“忘れ物”を取ってこれましたね。おめでとう!本当によかった!」とのコメントを寄せた。
「ル・マンでトヨタが3連勝できても…君たちがシリーズチャンピオンに輝いても…私は心の底から喜ぶことができずにいました」
「それは君たちがル・マンで悔しい思いしかしていなかったから。それも、君たちドライバーのせいではなく、我々のつくったクルマやチームが至らずに、そんな思いをさせ続けてしまっていたからです。だから、君たちに話しかける時、私はずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
「だけど君たちは、一度も誰かを責めることはしませんでした。常に、どうやって失敗を無くしていくか?どうやったらみんなで強くなっていけるか?それだけを考え、勝つための戦いを続けてくれていました」
「その3人が、やっと24時間を走り切ってチェッカーを受け、表彰台の一番高いところに立ってくれた。そして、心からの笑顔でシャンパンを掛け合ってくれていました。その姿を、ようやく見ることができて、涙が出るほど嬉しく、そして、ホッとしました。本当におめでとう!本当にありがとう!」
「可夢偉がシャンパンの栓を、なんのトラブルもなく抜いた姿もちゃんと見ていました。シャンパンの抜き方を忘れない内に勝てるクルマを準備できて本当によかった(笑)」
昨年のウィナーであるセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレー駆る8号車は、ヘビーウェットコンディションによる3周のフォーメーションラップを経て開始された事実上のオープニングラップでグリッケンハウス708号車に追突され、早々に最後尾への後退を余儀なくされた。
更に周回遅れの車両と接触したことでホイールリムにダメージを負い、パンクを喫するなど更なる不運に見舞われながらも、猛烈な追い上げで上位争いに復帰した。
だが、残り6時間を切ったタイミングで燃料システムにトラブルが発生。給油しても予定していた周回をこなすことができなくなった。予定よりも短い間隔で給油ピットを行いながら懸命に解決策を模索し続けた結果、コース上に一旦停車してセッティングを変更することで戦線復帰を果たし、2ラップダウンでの2位フィニッシュを飾った。
「一貴、セブ、ブレンドン」と豊田章男チーム代表は続ける。
「2位は悔しい結果だと思うけど、ワンツーフィニッシュをありがとう。8号車に出たトラブルを、セブが走りながら対処し、その方法を7号車にもシェアしてくれたと聞きました。セブ!そして8号車メンバーのみんなありがとう!」
「しかし、そのトラブルは前戦のモンツァでも発生していたもの…、それを直せぬままル・マンを走らせてしまいました。本当に申し訳なく思います。我々は、ドライバーがもっと安心して気持ちよく走れるクルマに進化させていかなければなりません」
「来シーズン、このレースには100%再生可能燃料が導入されると発表されました。新燃料の開発に尽力されている方々、そして、その導入をご決断いただいた皆さまに敬意を表します」
「このレースを通じても、我々はカーボンニュートラルに向け、選択肢を広げていく努力ができることになりました。モータースポーツという真剣勝負の場だからこそ、技術開発のスピードを上げていけると信じています」
「ドライバーが乗りやすいクルマ、ファンがもっと熱くなれる魅力的なレース、そして、そうした活動を、この先もずっと続けていけるよう、我々は様々な技術開発の努力を続けてまいります」
「ファンの皆さま、今回もご声援ありがとうございました。今後も引き続き、応援いただければ嬉しく思います。よろしくお願いいたします」
また、村田久武チーム代表はドライバーを含むチーム全員、そして関係各所やライバルへの感謝の言葉を綴った。
「非常に困難な状況下での激しいレースでしたが、これぞまさにチームでつかみとった勝利です。ドライバーには沢山の難題を課すことになってしまいましたが、一切のタイムロスを生ずることなくやり抜いてくれました」
「彼らの技量には度肝を抜かれました。この結果は、勝つために決して諦めず、やれることを全てやる、そんなチーム全員の努力の賜物です」
「チームメンバー、パートナー企業の皆様、トヨタ自動車の仲間を含めた全ての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。また、各カテゴリーで勝利された皆様、本当におめでとうございます」
「そして、終始我々と争い、このレースの精神を体現してくださったハイパーカーカテゴリーのアルピーヌとグリッケンハウスの皆様に感謝致します」