最終コーナーを駆け抜けヤス・マリーナ・サーキットのホームストレートに向かうアルピーヌA521、2021年12月11日F1アブダビGP予選にて
Courtesy Of Alpine Racing

F1アブダビGP決勝グリッドとタイヤ戦略考︰マゼピン欠場、ソフトのフェルスタッペンは全く不利ではない?

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12月12日(日)の日本時間22時よりヤス・マリーナ・サーキットで開催される2021年シーズンのF1世界選手権最終第22戦アブダビGPの公式スターティング・グリッドが国際自動車連盟(FIA)より発表された。

無変動の真っ向勝負

2日目にメルセデスのルイス・ハミルトンが今季5基目のエキゾーストを投入した以外にパワーユニット交換の動きはなく、降格ペナルティーに該当する者はいなかった。

また、バルテリ・ボッタス、アントニオ・ジョビナッツィ、ニキータ・マゼピン、ミック・シューマッハ、ジョージ・ラッセルの5名がギアボックスを新調したが、こちらも罰則の対象外だった。

更に予選ではダニエル・リカルドとフェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ベッテルとピエール・ガスリーが走行妨害の疑いで召喚されたが、いずれもお咎めなしの裁定が下った。

テクニカルな理由によるグリッド変更はなかったが、20番手ニキータ・マゼピン(ハース)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査で陽性となったために欠場となった。幸いにも症状はなく身体的には問題ないと言う。

想定されるタイヤ戦略

コースレイアウトが変更された事によりタイヤに対する横方向の負荷が増加したものの、ピレリは依然として従来どおり1ストッパーが最速のタイヤストラテジーだと予想する。

つまりレース戦略は理論上、以下の2パターンに絞られる。

  1. ミディアム→ハード
  2. ソフト→ハード

ソフトでスタートすれば序盤にアドバンテージを得る事でトラックポジションを上げやすいという利点があるが、ミディアムの方がレース展開と状況に合わせて柔軟にピットストップのタイミングを動かす事が出来る。

決して不利ではないソフトのフェルスタッペン

ハミルトンは故意にミディアムタイヤにフラットスポットを作った可能性を指摘するが、何にせよ、ポールポジションのマックス・フェルスタッペンはソフトタイヤでスタートする。

この選択は有利に働くのか、それとも足かせとなるのか?

チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーはミディアムとソフトは「五分五分」だとして「過度に動揺してはいない」と主張しており、上手くマネジメントすれば14~18周は保つものと広く予想されている。

なおフェラーリ、アルピーヌ、マクラーレンは自主的にソフトを選んだ。

フェラーリのマッティア・ビノット代表はソフトスタートの方が逆に「有利」だとしており「ミディアムでもQ2を突破できたはずだが、我々は敢えてソフトを選んだ」と説明した。

スクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表、2021年12月9日F1アブダビGPにてCourtesy Of Ferrari S.p.A.

スクーデリア・フェラーリのマッティア・ビノット代表、2021年12月9日F1アブダビGPにて

またアルピーヌのトラックサイド・オペレーション部門を率いるアラン・パーメインも「最初からソフトを考えていた。ミディアムのメリットは余りに小さく、Q2で試すリスクを正当化する理由がなかった」としている。

この状況はフェルスタッペンにとって朗報だ。上位勢の中でミディアムを履くのはメルセデスと身内であるアルファタウリ・ホンダの角田裕毅のみで、他は全てソフトだ。

概ねソフト勢は同じタイミングでピットストップに動く事になる。そうなればトップ10組のフェラーリ、アルピーヌ、マクラーレンが進路を邪魔する恐れはない。

ピットストップによってトラックポジションを落とした際に行く先を阻むのはミディアム勢の3台だが、角田裕毅は素早く道を譲るだろう。ソフトスタートを悲観するほどの理由は見当たらない。

2021年F1アブダビGP 決勝グリッド

以下は暫定のスターティンググリッド。決勝直前に発表される正式版との差異が発生した場合は更新される。

2021年シーズンのF1フィナーレを飾る最終第22戦アブダビグランプリの決勝レースは、日本時間12月12日(日)22時にスタート。1周5,281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。

日本ではフジテレビNEXTとDAZNが生中継・ライブ配信する。

Pos No Driver Team Qualifying
1 33 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1(-)
2 44 L.ハミルトン メルセデス 2(-)
3 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 3(-)
4 11 S.ペレス レッドブル・ホンダ 4(-)
5 55 C.サインツ フェラーリ 5(-)
6 77 V.ボッタス メルセデス 6(-)
7 16 C.ルクレール フェラーリ 7(-)
8 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 8(-)
9 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 9(-)
10 3 D.リカルド マクラーレン・メルセデス 10(-)
11 14 F.アロンソ アルピーヌ・ルノー 11(-)
12 10 P.ガスリー アルファタウリ・ホンダ 12(-)
13 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 13(-)
14 99 A.ジョビナッツィ アルファロメオ・フェラーリ 14(-)
15 5 S.ベッテル アストンマーチン・メルセデス 15(-)
16 6 N.ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 16(-)
17 63 G.ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 17(-)
18 7 K.ライコネン アルファロメオ・フェラーリ 18(-)
19 47 M.シューマッハ ハース・フェラーリ 19(-)

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