レース後、ココナッツドリンクとボトルを手に笑顔で夜のパドックを歩く、今季自己ベストの8位入賞を果たしたニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)、2026年10月11日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)
Courtesy Of Audi

「もうやめよう」 ラッセルに追撃を断念させたヒュルケンベルグの“鉄壁守備”。ガビとマクニッシュも絶賛した15周の攻防

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ジョージ・ラッセル(メルセデス)が、ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)の守りの走りを称えた。2026年F1第17戦シンガポールGPの決勝で攻略することができず、「ニコのディフェンスは見事だった。必死で抜こうとしたんだけどね」と振り返った。

マリーナベイ市街地コースでのヒュルケンベルグのパフォーマンスは、明らかに目を見張るものがあった。土曜のスプリントでは、同士討ちを喫したランド・ノリス(マクラーレン)を抑えて7位に入り、決勝でもラッセルを抑え込み、今季最高位の8位でフィニッシュした。

スプリントと合わせて週末に稼いだポイントは6点に上り、アウディはコンストラクターズ選手権7位争いを繰り広げるハースとのポイント差を7点に縮めた。アウディのレーシングディレクターを務めるアラン・マクニッシュも、これまで見た中で屈指の走りだったと称賛した。

終盤15周、ミスを許さない守備

パワーユニット(PU)交換に伴う60グリッド降格ペナルティを受け、19番手からスタートしたラッセルは、第1スティントで驚異的な追い上げを披露。レースの折り返し地点を前にした29周目には早くもポイント圏内まで浮上した。

続く第2スティントでもピエール・ガスリー(アルピーヌ)を攻略したが、その前に立ちふさがったのがヒュルケンベルグだった。ヒュルケンベルグは巧みなライン取りとポジショニングを通して、コンストラクターズ選手権をリードするメルセデスを抑え込んだ。

再三にわたって仕掛けを試みるもヒュルケンベルグに断ち切られたことで、ラッセルはレース終盤に向けて、「もうやめよう。リスクを冒すほどのことじゃない」と判断。追撃を諦め、完走を優先する走りに切り替えた。

一方、10番グリッドからスタートしたヒュルケンベルグは、開始早々にピエール・ガスリー(アルピーヌ)とアーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)をかわして8番手に浮上。スタートと1周目の出来が、その後の戦いを有利に進める助けになったと振り返った。

「今日はスタートも1周目も良く、早々にかなり良い流れに乗ることができた。そこからはレースを上手くコントロールしていった」

「もちろん、最後の15周は全く楽じゃなかったよ! ミスなく走りつつ、ジョージを抑え込むことに集中しなきゃならなかったからね。あれは本当に大変だったけど、何とかやり抜くことができて満足だよ」

マクニッシュは、ヒュルケンベルグへの賛辞を惜しまなかった。

「私が見てきたニコの走りの中でも、最高のレースの一つだった。スタートからフィニッシュまで素晴らしい走りだった。ポイント圏内までマシンを導き、チャンピオンシップ争いで極めて重要なポイントを確保する見事な仕事をしてくれた」とマクニッシュは述べた。

花柄のワンピースを着た娘ノエミ・スカイを抱きしめるニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)、2026年10月11日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)Courtesy Of Audi

花柄のワンピースを着た娘ノエミ・スカイを抱きしめるニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)、2026年10月11日(日) F1シンガポールGP決勝(マリーナベイ市街地コース)

週末6ポイントも、中団での課題は続く

チームメイトのガブリエル・ボルトレート(アウディ)も、ヒュルケンベルグの走りを称賛した。自身は序盤にギアボックスの問題とみられるトラブルに見舞われ、ピットレーン出口付近で停止。リタイヤを余儀なくされた。

レースがチェッカーフラッグを迎える前にインタビューに応じたボルトレートは、「正直、ニコのことは嬉しく思ってる。本当に素晴らしい週末を過ごしているし、このままいけばたぶんジョージの前でフィニッシュするだろうね。それはクルマのポテンシャルや、僕らがどこまでやれるかを示すものだ」と語った。

チームとしては決して完璧な日曜日ではなかった。停止したボルトレートのマシンは、VSC中にマーシャルによってアウディのガレージへ押し戻されたが、その後、出火するに至った。それでもアウディは、チームとして初めて同じ週末のスプリントと決勝の両方でポイントを獲得した。

マクニッシュは予選とレースへの取り組みを評価し、「今日の結果はポイントや選手権争いへの影響という点でも重要だが、とりわけ次の数戦に向けて勢いを得たという点で大きい。努力が報われたという意味でもチーム全体に重要だし、残りのシーズンに向けた足掛かりになるものだ」と語った。

マリーナベイ市街地コースを走行するニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)のR26と後方を追走するアルピーヌ、2026年10月11日(日) F1シンガポールGP決勝Courtesy Of Audi

マリーナベイ市街地コースを走行するニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)のR26と後方を追走するアルピーヌ、2026年10月11日(日) F1シンガポールGP決勝

ヒュルケンベルグも、トリプルヘッダーを好結果で締めくくったことを喜び、チームはこの成果に値する仕事をしたと評価した。一方で、今回ポイントを獲得したからといって、今後の取り組み方が変わるわけではないと指摘した。

「どの週末も重要で、毎回が『ゼロからのスタート』なんだ。前の週末の実績を次に持ち越せるわけじゃないからね。僕らのマシンは依然として中団にある。だからこそ、ミスをせずに結果を残していかなきゃならない」

「もちろんそれは決して楽なことじゃない。それでも、ベストを尽くしてひたむきに取り組み続けていく。それだけだよ」

一方のボルトレートは「まさに忘れたい週末」だったと振り返り、「もう終わったことだし、今は家に帰って休みたい。それで英気を養って、その後はシミュレーターを使ってチームと一緒に次のレースに向けて準備を進めるよ」と締めくくった。


2026年F1第17戦シンガポールGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを果たし、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が続く結果となった。

サーキット・オブ・ジ・アメリカズを舞台とする次戦アメリカGPは、10月23日のフリー走行1回目(FP1)で幕を開ける。

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