
「僕の判断だった」――ハミルトン、指示を拒んだ代償は約42秒。シンガポールGP転落の真相、フェラーリはピットインを指示
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は戦略判断を誤ったことで、2026年F1第17戦シンガポールGPでの表彰台を逃し、6位に終わった。レース後には自らその責任を認め、チームに謝罪した。
10月11日(日)のマリーナベイ市街地コースで、ハミルトンは62周のレースのうち38周を表彰台圏内で走行していたが、使い古したソフトタイヤで最後まで走り切る賭けは完全に裏目に出た。
ハミルトン「僕の判断」交換見送り謝罪
ランス・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)が39周目にコース上でマシンを止めたことで、レース中盤にバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入された。
すると、ハミルトンの前方2番手を走行していたチームメイトのシャルル・ルクレール、後方4番手を走行していたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、通常よりロスタイムを抑えてミディアムからソフトに交換した。
だが、ハミルトンはそのチャンスがあったにもかかわらず、ピットに入らずステイアウトした。この際に交換していれば、ポジションを失うことなくコースに復帰できた可能性が高い。
チェッカーフラッグまでノンストップで走る場合、44周という実に長いスティントを走ることになる。それだけに、タイヤ交換を見送った経緯に関心が集まった。
通常であれば無線通信の内容から、多かれ少なかれその理由を推し量ることができる。だが、VSC導入直後にはハミルトンのオンボード映像と音声が乱れ、その後しばらく音声が聞こえない状況が続いたため、事の真相を知るにはレース終了を待つ必要があった。
結果的に、この判断はレースの結末に重大な影響を与えた。レース終了時のルクレールとのタイム差から判断すると、このミスによってハミルトンは42秒ほどを失った計算となる。
終盤に向けてハミルトンは、アントネッリとランド・ノリス(マクラーレン)に追い抜きを許し、最終周に入る直前には、VSC後にスローパンクチャーでピットインしなければならなかったオスカー・ピアストリ(マクラーレン)にも追い抜かれ、6位でチェッカーを受けた。
レース後、ハミルトンは無線を通してチームに謝罪した。
「ごめん、みんな。今日はあの戦略でみんなを失望させてしまった。僕の判断だった。そのせいで貴重なポイントを失った。次で取り返せるようにする。ピットストップでのみんなの仕事は素晴らしかった」
ハミルトンの失態認める代表と、2度目の拒否
チーム代表のフレデリック・バスールは、VSC中の判断についてこう説明した。
「チームとしての指示は2台ともピットインすることだったが、ルイス自身がコースに留まることを選んだ。全体として見れば、あれはミスだったと思う。本来であれば2位と3位だったはずだ。我々は彼に判断を委ね、彼はそうしなかった。でも彼はインラップ中に、そのことを謝った」
また、イギリスのモータースポーツ専門メディア『Motorsport Week』によると、「チームを責めないでくれ」とも訴えた。
フェラーリによると、ハミルトンはレース後に体調を崩し、国際自動車連盟(FIA)の医療チームによる診察を受けた。その結果、メディア対応を免除されたため、現時点では今回の件について本人から直接の説明はない。
ハミルトンがフェラーリ側の戦略判断を退けたのは、VSC中の1回だけではなかった。
タイヤ交換の機会を逃した数周後、フェラーリは1ストップを成立させるにはタイヤの寿命が6周分足りないと伝え、2ストップに切り替えるようハミルトンに促した。ひとまず順位は落とすものの、フレッシュなタイヤで終盤にアントネッリやマクラーレン勢を追い上げる余地があったためだ。
だがハミルトンは、タイヤ交換によって2つ順位を失うのであれば、そのまま走行を続け、もう一度レースが中立化される機会を待つ価値があると主張した。チームはそれを認めたが、ハミルトンの判断が実を結ぶことは、またもなかった。
2026年F1第17戦シンガポールGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを果たし、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が続く結果となった。
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