ハミルトン、バスール全面支持の一方「責任を問うなら、彼より上にも目を向けるべき」伝統のフェラーリ組織構造に踏み込む

  • Published:
  • Googleで優先するソースとして追加する

ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は10月1日(木)、2026年F1第16戦バーレーンGPを前にマレーシアのセパンで、チーム代表フレデリック・バスールへの支持を改めて表明した。一方で、上層部を含む組織体制については見直しの余地があるとの考えを示した。

フェラーリは2025年7月にバスールとの複数年契約を延長。だが、元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーが、フェラーリを率いることは自身の夢であると語ったのを受け、一部メディアで代表交代の可能性が取り沙汰された。チームは9月29日(火)、バスールへの信頼に変わりはないと表明し、憶測の沈静化を図った。

今季はハミルトンがバルセロナでフェラーリ移籍後初優勝を挙げ、チームメイトのシャルル・ルクレールもシルバーストンで勝利した。ただ、コンストラクターズ選手権では2位につけながら首位メルセデスに160ポイント差をつけられ、ハミルトンもドライバーズ選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)から103ポイント遅れている。

開幕当初は高いシャシー性能を背景に、新時代での躍進への期待が高まっていたが、マクラーレンやレッドブルが開発を進める中で競争力が低下。バスールへの風当たりも強まっている。

「トトとフレッドでは立場が違う」上層部に言及

「どんなビジネスであれ、組織構造は本当に重要だし、安定性もそうだ。全員が同じ方向に進むことが鍵になる」とハミルトンは語った。

「ただフェラーリでは、特定の人物や役職にばかり注目が集まりがちだ。それでもフレッド(バスール)は素晴らしいリーダーだし、チームを正しい方向に導くのにふさわしい人物だ」

2023年初めに就任したバスールの上には、会長ジョン・エルカーンと最高経営責任者(CEO)ベネデット・ビーニャがいる。伝統的にフェラーリのチーム代表は、会長やCEOの下でチーム運営を担う立場にある。

虫垂炎の手術を終えてガレージに姿を見せたカルロス・サインツを迎えるフェラーリ会長ジョン・エルカーンとフレデリック・バスール代表、2024年3月9日F1サウジアラビアGP決勝レースCourtesy Of Ferrari S.p.A.

虫垂炎の手術を終えてガレージに姿を見せたカルロス・サインツを迎えるフェラーリ会長ジョン・エルカーンとフレデリック・バスール代表、2024年3月9日F1サウジアラビアGP決勝レース

ハミルトンは、かつて在籍したメルセデスのチーム代表兼CEOトト・ウォルフとの比較を交え、フェラーリの指揮系統について踏み込んだ。

「以前から続いている体制があるけど、今後、それを見直す必要があるのかどうか。もちろんフレッドより上の立場の人たちもいるし、これは一人だけの問題じゃない」

「僕なら変えるであろう部分はある。でも、それが何であるかについて話すつもりはない。トト(ウォルフ)とフレッドでは立場が違う。組織の構造が大きく違うんだ」

さらに、「もし責任を問いたいなら、他にも目を向けるべきだ。もっと上の立場にも、この状況に関わっている人たちがいる。関係しているのは本当に多くの人なんだ」とも述べ、チーム代表一人に責任を集中させる見方に異議を唱えた。

バスール以前には、マッティア・ビノットとマウリツィオ・アリバベーネがそれぞれ約4年間、マルコ・マティアッチがわずか7カ月で代表の座を退いた。

ハミルトンはこうした相次ぐ代表交代の歴史を踏まえ、「今は以前よりもいい状態にあると感じている」と評価し、「僕も彼と一緒にここで戦い続けるつもりだし、僕らが進んでいる方向を今も全面的に信じている」と語った。

同じミスでも批判は「10倍」

ハミルトンはまた、外部からの否定的な報道がチーム内の人々に及ぼす影響についても語った。

「否定的な話ばかり目にするのは、もどかしい。他のチームがミスをしても、誰もそれほど騒がない。僕らだって完璧じゃないことは分かっているけど、同じミスでもフェラーリの場合は、その批判が10倍になってしまう」

「僕自身はそういう記事を全部読んでいるわけじゃないし、僕個人への影響はまったくない。でも、チームの中には確実に影響を受けている人がいるのが見て取れる」

「外部の人たちは、内部で何が起きているのかも、みんながどれだけ懸命に働いているかも知らない。すべてが推測や個人的な意見で語られている」

自身は移籍2年目で理想の状態に到達するとは考えていなかったという。それでも「何を書かれようと、僕らはできる限り最高の仕事をすることに集中する。目指している場所にたどり着けるよう、願っているし、祈っている」と前を向いた。

ルクレール、繰り返される噂を批判

フレデリック・バスール代表と話すシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年4月29日F1アゼルバイジャンGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

フレデリック・バスール代表と話すシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年4月29日F1アゼルバイジャンGP

2019年からフェラーリに所属し、それ以前のザウバー時代にもバスールの下で戦ったルクレールは、個人的な関係とは無関係にバスールの能力を高く評価しているとし、憶測に対する不快感を表明した。

「フレッドと僕がどういう関係にあるかは、よく知られていると思う。でも、もちろんそれだけの話じゃない。僕が彼を支持しているのは、彼の能力も含めてのことだ」

「チーム内部では、フレッドが常に支持されていることは極めて明確だった。それなのに、なぜか3、4年おきにチームを巡る突拍子もない噂が出てくる。僕もこのチームに長くいるから、残念ながらこういうことには慣れてきてしまったけどね」

そのうえで、わずかなミスがあるたびにチーム代表の去就に結び付ける報道姿勢を批判した。

「決して気分が良いものじゃないし、敬意を欠いているとも思う。僕らはみんな、ここで全力を尽くそうとしている。ミスをすることもあれば、素晴らしい仕事をすることもある。でも、もう少し上手くやれた可能性があるたびに、その機会を利用してこういう噂を流すのは、決して感心できるものじゃない」

「一つ確かなのは、フレッドは僕ら全員から支持されているということだ。彼がチームにいてくれることを、本当に誇らしく思っている。できるだけ早く、チームを再び頂点に戻したい」