
アストンF1、苦戦見込むバクーで“あえてPU交換”。ホンダと練った降格戦略、最下位の裏で車体には明るい材料
アストンマーティン・ホンダがバクー市街地コースでパワーユニット(PU)コンポーネントの交換に踏み切り、ペナルティを消化する決定を下した背景には、2.2kmの超ロングストレートで苦戦するとの事前の見立てがあった。
チーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、シーズン序盤に多くのコンポーネントを消費したため、追加交換に伴うグリッド降格ペナルティをどこで受けるか、ホンダと協議してきたと明かした。
9月24日(木)に行われた2026年F1第15戦アゼルバイジャンGPのプラクティスでは、フリー走行2回目(FP2)でランス・ストロールが21番手、フェルナンド・アロンソが22番手の最下位にとどまった。一方、車体の軽量化が実施され、マシンはようやく最低重量に近づいた。
ホンダと協議、苦戦を見込むバクーで交換
今シーズン序盤に抱えた一連の問題により、チームはすでにかなりの数のPUコンポーネントを使用している。そのため、シーズン後半のどこかでさらなる交換が必要になるとの認識から、ペナルティを消化する場所についてアストンはホンダと検討を続けてきた。
一般的には、降格分を巻き返しやすいオーバーテイクが容易なコースという観点からペナルティの消化地が検討される。一方、アストンマーティン・ホンダは異なる考え方を採り、ペナルティの有無にかかわらず結果が変わらないと予想される苦戦が見込まれるコースを選んだ。
「当然ながら、競争力が最も低いと予想される場所でペナルティを受けようとする。ホンダとの話し合いの中で、おそらくここがそれを行うのに適したイベントだという結論になって、今回実行することにした」とクラックは説明した。
アロンソには25グリッド、ストロールには20グリッドの降格ペナルティが科されるため、決勝では2台ともグリッド最後方からのスタートを強いられる見込みだ。
クラックは、ペナルティを抱えて週末を始めることは「決して嬉しいことではない」と認めつつ、それが規則である以上は受け入れるほかにないとし、「置かれた状況で最善を尽くすだけだ」と語った。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ピットウォールで走行を見守るマイク・クラック(アストンマーティン・ホンダ チーフ・トラックサイド・オフィサー)、2026年9月24日(木) F1アゼルバイジャンGPフリー走行(バクー市街地コース)
ストレートでの損失をコーナーで補う
アストンがバクーでの苦戦を想定している最大の理由は、ターン16からターン1まで続くカレンダー最長のエンジン全開区間の存在だ。クラックはこう語る。
「苦戦することは予想済みだ。2.2kmのストレートは、現時点で我々が得意とするところではない。だから、その現実を受け入れて可能な限りベストを尽くし、ロスを最小限に抑えながら、コーナーで可能な限り取り返さなければならない」
初日のフリー走行1回目(FP1)では、路面の汚れが走行プログラムを揺さぶった。クラックは、「だからタイヤの選択も少しハード寄りにして、とにかく学習を進め、いくつか基本的な項目を確認し、ドライバーに何周か走ってもらった」と振り返った。
「ただ、あのセッションから実際に得られるものはそれほど多くなかった。だから、その結果を受けて変更を加えすぎぬよう、慎重に進める必要があった」
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ガレージ内でAMR26のコックピットに乗り込み走行に備えるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)、2026年9月24日(木) F1アゼルバイジャンGPフリー走行(バクー市街地コース)
続くFP2では、アロンソが9周で走行を終えた。ホンダによると、オイル系統のデータに「異常なシグナル」が確認されたため、交換したばかりの新しいPUを保護する措置として走行を中止したという。
オイル漏れの疑いについて問われたクラックは、問題が発生したことを認めたうえで、「具体的に何が起きたのか、どう対処する必要があるのかを、これから確認しなければならない。ただ、修復できると確信している」と答えた。
軽量化で最低重量に接近、次の課題へ
初日のプラクティスはアストンマーティン・ホンダにとって非常に厳しい内容となったが、車体側では前進もあった。
空力アップグレードこそ持ち込んでいないが、クラックは「また少し軽量化することができた。ようやく重量制限に近いところまで来たと思うし、それについてはみんな満足している」と説明した。
「つまり、取り組み全体の中で、ひとつの項目にチェックを入れられたということだ。ただ、そこで止まることはない。ここからさらに、もっともっと先へ進みたい。それでも、これは良い一歩になったと思う。これで次の課題に集中できる」
ストロールも初日の走行を振り返り、「何周か走って、分かったこともある。今夜はクルマを改善して、明日はもっと良い状態にしたい」と語った。
ただ、残る週末に対して楽観的なわけではない。ストロールはこう締めくくった。
「苦戦していることも、速さがないことも分かっている。だから、この週末からできる限りのものを引き出そうとしている。日曜日に何かチャンスを掴めたらいいね」
2026年F1アゼルバイジャンGPの初日FP2をトップで締め括ったのはジョージ・ラッセル(メルセデス)。2番手にチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリ、3番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
FP3は日本時間9月25日(土)17時30分から、公式予選は同21時から1時間に渡ってバクー市街地コースで開催される。セッションの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。