
コラピント躍進の裏にあった「3号機」…ガスリー超えのマイアミ舞台裏と、ブリアトーレの称賛と警告
フランコ・コラピントにとって2026年のF1第4戦マイアミGPは、アルピーヌ移籍後としては最も説得力のある週末となった。自己最高の7位という結果以上に注目されるのは、週末を通じてピエール・ガスリーを上回る速さを示したことだ。
スプリント予選ではガスリーに0.154秒先行し、本予選でも0.048秒上回った。差は大きくない。だが、これまでの流れを踏まえれば、その意味は決して小さくない。
マイアミ以前のコラピントは、アルピーヌで計22戦を戦い、獲得したポイントは今年の中国GPでの1点だけだった。その間、ガスリーに対して明確なペース不足を抱える週末が多く、2026年シーズンの開幕3戦でもその状況は変わらなかった。
中団上位を争う場面が多いガスリーに対し、コラピントはトップ10に届かない状況に苦しんだ。そのため、マイアミで起きた力関係の揺らぎ、そしてその背景は興味をそそられるものだった。
初号機から03へ。新シャシーが生んだ転機
背景の一つには、コラピントがマイアミで新しいシャシーを手にしたことが挙げられる。開幕からの3戦で使用したのはA526-01。最初に製作されたシャシーであり、クラッシュテストにも使われた個体だった。
当然ながら、両シャシーには重量面で大きな違いがある。レーシングディレクターを務めるスティーブ・ニールセンによれば、最新型のA526-03の使用により、マシンは最低重量を下回るという。
これは単に軽量化によるパフォーマンス向上が期待できるということにとどまらない。最低重量を満たすためにバラストを追加することになるが、最適な位置に配置することで理想的なバランスを追求する余地が生まれる。
マイアミでは、リア・サスペンションやフロント・ブレーキドラムを含む空力パッケージにもアップデートが投入された。リアウイングは製造が間に合わず1セットしか用意できなかったため、ガスリーにのみ与えられたが、コラピントはようやくA526から速さを引き出せる条件を得た。
本人も、その変化を隠さなかった。
「チームは、新しいアップグレードと新しいシャシーを用意するために多大な努力を重ねてきた。それが本当に役に立った。中断期間中、ファクトリーは大忙しだったけど、必要としていたスピードを取り戻せて本当に誇らしく思う」
コラピントは、こうした変化によりクルマに対する感覚が「大幅に変化したわけではない」とも語ったが、これまで失っていた数百分の1秒、数十分の1秒を取り戻す後押しとなったであろうことは疑いない。
「チームには本当に感謝している。いずれもすごく役に立ったし、そのおかげで落ち着きを取り戻し、さらなるペースを見つけることができたのだと思う」
copyright FORMULA 1
キャリア最高位となる7位フィニッシュを経てインタビューに応じるフランコ・コラピント(アルピーヌ)、2026年5月3日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
キャリア最高位、ブリアトーレの称賛と警告
コラピントの週末は、波風のないものではなかった。
スプリントでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)ら3台並んでターン1・2を抜ける際に交錯し、ガスリーに先行された。ガスリーは8位を手にし、コラピントは10位にとどまった。決勝のオープニングラップでは、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)と接触した。
だが、週末全体の基調は違った。予選では2度ガスリーを上回り、決勝でも一貫してポイント圏内を走行し続けた。単に予選での一発だけでパフォーマンスを発揮したわけではない。それは週末を通じて持続した。
最終的にコラピントは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に対する20秒ペナルティの恩恵も受け、7位でフィニッシュ。F1キャリア最高位を塗り替えた。
実質的なチーム代表であるフラビオ・ブリアトーレも、コラピントの週末を評価した。ただし、この水準のパフォーマンスを毎戦示す必要があるとも警告した。
「フランコは、本当に良い一週間を締めくくった。彼は今回、我々が毎週末、彼に期待するレベルのパフォーマンスを発揮した」
「マシンには競争力がある。我々が掲げている目標を達成するためには、このようなパフォーマンスを毎週末、両ドライバーとチーム双方が発揮しなければならない」
ガスリーはスプリントで入賞した一方、決勝ではリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)に追突され、横転したことでリタイアを余儀なくされた。結果として、週末を通して稼いだポイントはコラピントに及ばなかった。
ブリアトーレは、今回投入したアップグレードの「一部のアイテム」が「期待したほどのパフォーマンス向上をピエールにもたらさなかった可能性がある」とし、次戦カナダGPまでに検証する意向を明らかにした。
マイアミはターニングポイントだったのか、それとも一度きりの気まぐれだったのか。次戦カナダを含め、今後ガスリーとの差をどこまで安定して埋められるか、または上回れるかが、マイアミでの評価を決定づけることになる。