
首を傾げるフェルスタッペン、高DF仕様化が仇で4番手「ドラッグが増えただけ…」ウェット逆転劇は”幻想”か
2025年F1第13戦ベルギーGP予選でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は4番手にとどまり、マクラーレン勢にフロントロー独占を許す結果となった。土曜に行われたスプリントで勝利を挙げた直後の予選だったが、日曜の降雨に備えてマシンを“高ダウンフォース仕様”に変更した判断が、思わぬ形で裏目に出た。
雨への備えが生んだ予想外の感触
15周で争われたスプリントで、フェルスタッペンは空気抵抗の少ないリアウイングを採用。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)を逆転し、スプリント通算12勝目を挙げた。
決勝での降雨の可能性が高まる中、レッドブルは予選に向けて高ダウンフォース仕様のリアウイングへと切り替えた。これはウェット路面におけるトラクションと安定性を重視した戦略的な判断だった。
だが、ドライコンディションで行われた予選では、この変更がマシンバランスに悪影響を及ぼす結果となり、フェルスタッペンはポール争いから脱落。シャルル・ルクレール(フェラーリ)にも後れを取り、4番手に沈んだ。
「ドラッグ(空気抵抗)が若干増えるとは言っても、ドライビングフィールが良くなることを期待していたんだ。でも、そうはならなかった。ちょっとおかしな感じだ。単にドラッグが増えて、バランスが悪化しただけだった」とフェルスタッペンは明かした。
今季のレッドブルRB21は、セットアップ変更に対して過敏に反応しやすく、一貫性に欠ける傾向がある。今回のケースは、ぶっつけ本番での仕様変更がいかにリスクを伴うかを浮き彫りにしたと言える。
Q3の失速、“ターン1までに0.2秒損失”
予選Q3では、1セット目のタイヤで手応えが得られず、最終アタックに向けて微調整を加えたものの、ラップの立ち上がりからトラクション不足に苦しんだ。
「ラップに入る時点でホイールスピンが酷くて、最終コーナーの立ち上がりですでにタイムを失っていた。同じことがターン1でも起きて、0.2秒を失ってしまった」とフェルスタッペンは振り返る。
「予選を通して全然プッシュできる感触がなかった。スパでは、コーナーへの進入時にしっかりとコミットして、クルマを回頭させなきゃならないのに、それができなかった」
ラップ序盤のロスが決定的となり、マクラーレン勢との差が開き、4番手に留まる結果となった。「本来なら3番手に並ぶのが妥当だった」とフェルスタッペンは悔しさを滲ませた。
ウェットでの逆転に現実的な構え
時間帯はともかく、決勝当日に雨が降ることはほぼ確実視されている。高ダウンフォース仕様への切り替えが本領を発揮する展開も考えられるが、フェルスタッペンは終始慎重な姿勢を崩していない。
「ウェットだと、ほとんど何も見えない。だから、1周目に何かを仕掛けるのは不可能だ」としつつ、「マクラーレンはウェットでもかなり速い。インターミディエイトタイヤの使い方にも長けている」と、ライバルチームの強みを指摘する。
その上で、「幻想を抱くつもりはない。現実的にならなきゃ」とも述べ、無理に表彰台や優勝を狙うのではなく、まずはレースを通してマシンバランスを修正し、3位を目指すことが現実的なプランだと強調した。
2025年F1ベルギーGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手にチームメイトのオスカー・ピアストリが、3番手にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間7月27日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周7004mのスパ・フランコルシャンを44周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。