
角田裕毅、自身とチームに辛口評価―”見えないハジャー”を制し10位入賞も…レッドブル代表ホーナーも課題認める
2025年F1世界選手権第6戦マイアミGPの決勝レースが現地時間5月4日に開催され、レッドブルの角田裕毅は10位でフィニッシュ。ピットレーン速度違反による5秒加算ペナルティを受けながらも、“目には見えない相手”とのギリギリの争いを制し、貴重な1ポイントを獲得した。
スタート直後、角田はエステバン・オコン(ハース)をかわしてポジションを1つ上げる好走を見せた。だがピットストップに際してピットレーンの制限速度をオーバーしてしまい、レース後に5秒のタイム加算ペナルティが科されることとなった。
角田は、「不必要なミスで、自分を難しい状況に追い込んでしまいました」と認めた上で、「そのため、やるべきことをやり、何とか最大限のペースを引き出さなければなりませんでした」とレースを振り返った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
エステバン・オコン(ハース)をリードする角田裕毅(レッドブル・レーシング)のRB21、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
レース中盤の27周目には、オリバー・ベアマン(ハース)がターン8で白煙を上げてストップ。このトラブルによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、角田はピットストップを終えた直後にその瞬間を“目の前で”目撃することになり、戦略面でも不利な状況を強いられた。
終盤に向けては、前後に他車がいない“孤独な走行”となったものの、後方からはかつてのチームメイトであるアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)が迫っていた。角田は5秒のペナルティを消化したうえで10位を守るため、ハジャーとの差を5秒以上に広げる必要があった。
角田はエンジンモードを変更して逃げ切りを図ったが、ハジャーも猛プッシュを続けた。残り10周の間、両者のギャップは5秒前後を行き来する接戦となり、最終ラップ突入時点ではその差が4.906秒にまで縮まった。
「以前のチームメイトが僕のレースを難しいものにしたのは間違いありません。終盤10ラップで彼がかなりペースを上げてきたので、僕もプッシュし続けなければなりませんでした。それでも彼が引き下がらなかったので、本当に大変でした」
結果的に角田は、ハジャーとの差を5.167秒にまで広げ、文字通り“ギリギリ”で10位を守り切った。一方で、前を行くカルロス・サインツ(ウィリアムズ)との差は広がる一方となった。角田は自身およびチームのパフォーマンスについて厳しい評価を下した。
ペース不足に苦しんでいたのは僚友マックス・フェルスタッペンも同じであるとして、角田は、「自分のペースには満足していませんし、チームとしても全体的にペースに苦労したと思います。僕だけではないので、何か見直すべき点があると思います」と語った。
「今日のウィリアムズは飛ぶような速さでした。ただ、そうは言っても僕らのペースは全く良くありませんでした。予選の段階から苦戦していて、クルマが思うように走ってくれないような感覚でした」
「正直、問題の根本原因を説明するのは難しいです。レースではできる限りのことをしました。これ以上はできなかったと思います」
「なので、ドライビングスタイルを含めて、様々な点を分析する必要があります。厳しいレースでした」
チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンが4位、角田が10位という結果について「望み得る最良の結果だった」と評価。そのうえで「ユーキは10位でポイントを持ち帰った。最後までよく持ちこたえた」と、角田の粘り強い走りを称賛した。
一方で、「今回のレースを通じて、決勝で求められる究極のレースペースを見つけ出すためには、まだ多くの課題があることが浮き彫りになった」とも認め、2週間後に控える、レッドブルにとって通算400戦目となるエミリア・ロマーニャGPに向けて「全力で取り組んでいく」と意気込みを語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
決勝レースを前に”レゴRB21”に乗るレッドブルのマックス・フェルスタッペンと角田裕毅、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
2025年F1第6戦マイアミGPでは、4番グリッドからスタートしたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が3連勝を飾った。2位はランド・ノリス(マクラーレン)。3位表彰台はジョージ・ラッセル(メルセデス)という結果となった。
イモラ・サーキットを舞台とする次戦エミリア・ロマーニャGPは、5月16日のフリー走行1で幕を開ける。