
黄金期を知る男がF1復帰、アストンが元レッドブルの鬼才腹心を招聘―ニューウェイ懸念の”弱点”改善に向け
エイドリアン・ニューウェイが、チーム合流後に指摘した技術インフラの“弱点”に対応すべく、アストンマーチンが本格的な対策に乗り出した。英専門メディア『The Race』によれば、その人物こそ、レッドブル時代にニューウェイとともに黄金期を支えたシミュレーション解析の専門家、ジャイルズ・D・ウッドその人だ。
ウッドは「シミュレーションおよび車両モデリング・ディレクター」として、英シルバーストンに拠点を置くチームに加わり、現行のドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーター(DIL)の刷新に取り組んでいる。
DILは主に、マシン開発およびグランプリ週末のセットアップ最適化に活用されているシミュレーションツールだ。
ニューウェイはアストンのDILについて「基礎的な研究ツールであるにも拘らず、現在のところ相関性が全くなく機能していないため、制約になっている」と厳しく評価。また、改善には「2年」を要するとの見方を示し、現状に対する危機感をにじませていた。
ウッドは2004年にマクラーレンでF1キャリアをスタートし、2007年から2014年にかけてレッドブルのシミュレーション部門を統括。セバスチャン・ベッテルによる4連覇時代を支えたキーパーソンの一人として知られる。
2014年7月以降はレッドブル・アドバンスト・テクノロジーズでテクニカル・ディレクターを務め、2017年からは米Apple社でエンジニアリング・マネージャーを務めていた。今回の復帰により、ニューウェイとの強力なタッグが再び構築されることになる。
こうした技術部門の強化はシミュレーション分野にとどまらない。
空力部門では2025年3月、メルセデスでチーフ・エアロダイナミシストを務めていたジョアッキーノ・ヴィーノが加入。ヴィーノはトヨタ(2007〜09年)、レッドブル(2010年)、ルノー(2010〜12年)で空力開発を手がけ、2012年以降はメルセデスに移籍。長年にわたり同チームの空力設計を支え続けてきた実績を持つ。