ホンダが2021年のF1でレッドブル及びアルファタウリに供給したパワーユニット「RA621H」全体像 (1)
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

F1、2026年次世代パワーユニットに「オーバーライド・モード」を搭載へ

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次世代F1パワーユニット(PU)が導入される2026年以降は、「オーバーライド・モード」と呼ばれる、一時的に車速を引き上げる特別なシステムが導入される事になりそうだ。

ホンダやアウディ、レッドブル・フォードがPUサプライヤーとして新規参戦する2026年にF1は、高出力、高回転の1.6リッターV6ターボエンジンを継続しつつもMGU-Hを排し、総出力=約1000馬力における電動比率を約50%にまで引き上げる計画だ。

回生エネルギーの重要性が従来以上に増す2026年のPUレギュレーション草案の最新版(2024年3月29日発行)には、「オーバーライド・モード」なる詳細不明の記述がある。

2026年以降は車速に応じたERS-Kの使用上限が設定される。

340km/h未満の場合、使用可能な電動パワーの上限はkW = 1800 – 5 × 車速 (km/h)で計算される。340km/h以上の場合は、kW = 6900 – 20 × 車速 (km/h)の計算式が適用される。345km/hを超えるとERS-Kは使用できない。

しかしながら、「オーバーライド・モード」を使用した際は、上記とは別の計算式、つまりkW = 7100 – 20 × 車速 (km/h)が適用されると記されている。使用できるのは355km/h未満の場合に限られる。

つまりより多くの電動パワーを上乗せできるという事だが、詳しい説明がないためこれ以上の詳細は分からない。ただ、オーバーテイクやディフェンスを含むコース上でのポジション争いに新たな次元を与える事になりそうだ。

回生エネルギーは無尽蔵ではないため、オーバーライド・モードを使用できる場面は限られる。エネルギーの効率的な使用という点でチームはこれまで以上にレース戦略を緻密に計画する必要があり、また、ドライバーの技術と判断はより重要なものになると言える。