ヘルメットを被りAMR23のコックピットに座るランス・ストロール(アストンマーチン)、2023年7月28日F1ベルギーGP
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

アストンマーチンがソフトではなくミディアムをストロールに履かせた理由 / F1ベルギーGPシュートアウト

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アストンマーチンは何故、29日(土)のF1ベルギーGPスプリント・シュートアウトの第2ラウンドで、好グリップが期待できるソフトではなくミディアムタイヤを履かせたのか?

ストロールは35分遅れで開始されたシュートアウトでSQ2に進出した。ウェットからドライへと路面が急速に改善していく状況であったが、走行時間はわずか10分。誰もがインターミディエイトで周回を重ねたが、アストンはストロールにスリックを履かせるギャンブルに打って出た。

インターミディエイトタイヤでスパ・フランコルシャンを周回するランス・ストロール(アストンマーチン)、2023年7月29日F1ベルギーGPスプリント・シュートアウトにてCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

インターミディエイトタイヤでスパ・フランコルシャンを周回するランス・ストロール(アストンマーチン)、2023年7月29日F1ベルギーGPスプリント・シュートアウトにて

だがこの果敢な戦略は功を奏さず、チームは逆に大きな代償を支払う事になった。ストロールはターン9でオーバーステアを抱えて壁に激突。AMR23の右フロントは大破し、残り29秒で赤旗が振られたためセッションは再開されず、そのまま終了した。

チームメイトでこの日が誕生日のフェルナンド・アロンソはラップを放棄せざるを得ず、アストンは2台共がタイムを残せないままにダブルSQ2敗退を喫した。

アストンがミディアムを履かせた事を不思議に思ったファンは多い事だろう。スプリント・シュートアウトのSQ1とSQ2ではミディアムを装着しなければならないが、セッションはウェットコンディションで開始された。

だがチームによるとレースコントロールはウェット宣言を出しておらず、通常通りのルールが適用された状態だった。

もし国際自動車連盟(FIA)が正式にウェット宣言を出していれば、以降、ドライバーは自由にタイヤを選択する事ができるが、今回はその限りではなかった。

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