角田裕毅、期待を誘う前向き材料…F1カナダ初完走・入賞なるか
角田裕毅(アルファタウリ)が2023年FIA-F1世界選手権第8戦カナダGPに先立ち、ペナルティにより9位入賞を逃した前戦スペインを振り返りつつ、初完走・入賞が期待されるジル・ビルヌーブ・サーキットでの週末に向けて抱負を語った。
レース終盤のターン1で発生した周冠宇(アルファロメオ)との一件に関して5秒ペナルティが科されたことで、スペインGPは9位フィニッシュながらも12位降格という失意の週末に終わった。
16日(金)の開幕に向けて角田裕毅は「ペナルティのおかげでポイントを獲得できなかったのは悔しいですが、それを差し引けばスペインでの僕らには一貫性がありましたし、自分たちの仕事ぶりには本当に満足しています」と振り返った。
「特に日曜のレース戦略ではチームがいい仕事をしてくれましたし、予選でもエンジニアやチームからかなり助けてもらいました」
「今のところ上手くいっていますが、それ以上にチーム自体が良くなっていて、皆が同じ方向に向かって頑張っています。今シーズンは少し苦戦を強いられる状況が続いていますが、みんなのハードワークのおかげでレースでは良い結果を残せています」
「僕自身、レースごとに成長していますし、今年の目標であった集中力と取り組みという面で100%を発揮できるようになってきたと感じています。プッシュして毎周、限界まで攻めているからこそ結果を残す事ができます。時にはそれがミスに繋がる事もありますが、それは学びの種でもあります」
「ここ数戦はポジティブなレースができました。正直なところ、バルセロナでは予想外にオーバーテイクを楽しむことができましたし、ペースも好調でした」
昨年のカナダGPは2回目のピットストップ直後にバリアに衝突するミスを冒してリタイヤに終わったが、パワーユニット交換ペナルティによる最後尾20番グリッドながらも一時、10番手を走行するなど、非常に力強い走りが印象的なレースでもあった。
デビュイヤーの2021年大会はコロナ禍の影響で中止となった。角田裕毅は今週末のカナダで初完走、初入賞を目指すことになる。
カナダGPの舞台となるジル・ビルヌーヴ・サーキットはロングストレートと深く切れ込んだコーナーの組み合わせが特徴の典型的なストップ・アンド・ゴーで、速度域が似通ったコーナーで直線区間が繋げられているという点で、角田裕毅が10位入賞を果たした今年6月のバクー市街地コースとの類似性が認められる。
伝説的F1ドライバーの事故死を経て、その名に改称されたモントリオールの仮設サーキットについて角田裕毅は「カナダのコースは難しくてドライブするのが楽しいですし、雰囲気も素晴らしいです」と語る。
「ストリートサーキットでありながら、白線のすぐ外が芝生で、飛び出すや否やそれで終わってしまう鈴鹿のような昔ながらの常設サーキットのようなところがあります。ドラッグを抑えながらもハイ・ダウンフォースが必要なので、セットアップの面でも厄介なコースです」
「実は昨年のカナダでのレースは僕にとって、クルマを理解する上でちょっとしたターニングポイントでした。フリー走行ではかなり苦戦したものの、レースでは力強い走りをすることができました。エンジニアと一緒になって、より速く走るためにクルマとドライビングの両面でどのような方向性を取るべきかを理解することができました」
「昨年のモントリオールで見出したバランスのとれたセットアップは今も使っています。先週のシミュレーター作業でも依然としてバランスがとれている事が確認できました。微調整した結果、満足いくものになったので、実際の週末でも上手くいくことを祈っています」
F1カナダGPは日本時間6月16日(金)26時30分からのフリー走行1で幕を開ける。予選と決勝を含めた全セッションはDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。