鬼才ニューウェイは2023年型レッドブル「RB19」の開発にどの程度関与しているのか?
空力の鬼才と称される天才的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイはダブルタイトル2連覇が懸かるレッドブルの2023年型F1マシン「RB19」の開発にどの程度関与しているのだろうか。
ニューウェイ率いるレッドブルの技術者達はグランドエフェクトカー時代に突入した昨年、グリッド最強・最速マシンを作り上げた。「RB18」は車高を上げざるを得ないコースでもダウンフォースの喪失が少なく、優れた空力効率により高いトップスピードを発揮した。
「RB18」は全22戦のシーズンで17勝を挙げ、マックス・フェルスタッペンに2度目のタイトルをもたらし、更にはレッドブルにとって9年ぶりとなるコンストラクターズ選手権制覇の悲願を達成した。
ニューウェイは全10チームの中で唯一、1980年代のグランドエフェクトカー開発経験を持つ最高技術責任者であり、これが新時代F1での成功の要因の一つと考えられているが、「RB18」にしろ後継機となる「RB19」にしろ、ニューウェイはF1に全力投球しているわけではない。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは独「Auto Motor und Sport」とのインタビューの中で、ニューウェイが依然としてキーマンである事に変わりはないとしつつも、レッドブル初のハイパーカー「RB17」の開発を含め、他の業務にも時間を費やす毎日を過ごしていると明かした。
「エイドリアンはここ数シーズン、F1での日々の職務からは身を引いている。アドバンスト・テクノロジーとF1を行き来しているんだ」とホーナーは語る。
「だが彼はもちろん、百科事典の如き知識の持ち主で、ここ数年で我々は素晴らしい成果を目にしてきた。技術チームは本当に成長している」
「その甲斐もあってエイドリアンはヴァルキリー(アストンマーチンとの共同開発によるハイパーカー)や、昨年の半ばに我々が発表したRB17に取り組むことができたんだ」
「もちろんエイドリアンは今も図面を書いているが、日常的に携わっているわけじゃない」
具体的には1年の内、一体どの位の時間をF1プロジェクトに割いているのだろうか?
ホーナーは「50%くらいかな。彼がオフィスにいるのは平均して週に2、3日だと思う。パーセンテージで表わすのは難しいし、不可能だ」と答えた。
レッドブルは2023年シーズンも支配的な競争力を発揮し、早々にチャンピオンシップ争いを終わらせるのだろうか?
フェルスタッペンが昨年のタイトルを決めたのは第18戦日本GP。残り4レースを残しての戴冠だったが、今季のタイトル争いについてホーナーは最終戦までもつれ込む事を覚悟しているようだ。
初開催を迎える最終一つ手前のF1第22戦ラスベガスGPまでにフェルスタッペンが3度目のチャンピオントロフィーを手にする事に幾らの金額を賭けるか?と問われたホーナーは「いや何も」と答えた。
「振り返ってみれば、2022年は本当に素晴らしいシーズンだった。優勝17回に加えてスプリントレースで2勝した。そしてコンストラクターズチャンピオンとドライバーズチャンピオンを獲得した。本当に信じられないようなシーズンだった」
「ただ勝率50%でも十分にチャンピオンシップを勝ち取れた事だろう」
「もちろんフェラーリの昨年のマシンは本当に素晴らしかった。彼らは今年も激しい戦いを仕掛けてくるはずだ」
「それにメルセデスはアニュス・ホリビリ(酷い年)から立ち直ってくるだろうし、ライバルたちは一層手強い存在になるだろう」